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北陸文化

【雨乃日珈琲店だより ソウル・弘大の街角から】(23) 9周年に感謝

街と人 変化を見届けたい

2010年、店がオープンする前の様子。当時は不動産屋が入店し(黄色い看板)、周囲の街並みは今より静かだった=ソウルで

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 十一月十二日、雨乃日珈琲店は無事、九周年を迎えることができた。記念日なんてただの数字だと思って普段は暮らしているが、いざその日を迎え、SNSで多くのメッセージをもらい、お客さまや街で出会った知人に「おめでとう」と言われると、次の一年もがんばってみようかと活力が湧いてくる(日本から応援してくださる皆さまにも感謝です)。

 そして改めて、九年という歳月を実感する。オープン当初の写真を探してみたのだが、そこに映っている弘大の街並みは今と違って穏やかで、若者たちのファッションも一昔前のものだ。近所にいた子供たちやお年寄りは今どこで何をしているのだろう。

 今年だけでも、街と人の様子が大きく変わった。景気が悪く空き店舗が増えた、お客さまの雰囲気が変わった、というばかりではない。

「十一月十二日」(2019年)

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 開店時からの常連客で、最近は年に一、二回と頻度は減ったが、それでも絶えず訪れてくれる韓国人夫婦がいる。今回も九周年ということで立ち寄ってくれ、うれしい気持ちで世間話をした。ところがその中で、ちょっと戸惑うことが。彼らは日本旅行マニアで、安い航空券を見つけてはたびたび日本の地方都市に繰り出していたのだが、最近は行っていないらしい。何でも、夏からの日本製品のボイコット運動が原因で、「行ける雰囲気ではない」というのだ。日本に好感を持つ彼らでさえ旅行を諦めようと考える、そんな同調の空気に韓国が包まれていることを知る出来事だった。

 一方、十一月にソウルで開催されていた国内最大級のアートブックフェア「アンリミテッドエディション」には、日本の作家や書店も数多く出店し、とある日本人アーティストのグッズは早期完売するほど人気だったという。日韓文化交流に異常はないのは嬉(うれ)しいが、こうした温度差を不思議に思ったりもする。

 韓国は住んでいても追いつけないほど変化の速い国だ。一年後にどう変わっているのか予想もつかないが、その変化をしっかり見届けつつ十周年を迎えたいと思う。(しみず・ひろゆき=ライター、いけだ・あさこ=書家、金沢市出身)

※【お断り】30日の北陸文化面は休みます。

 

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