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北陸文化

【コミュニティシネマ 街中銀幕から】   橋本忍の描く黒い影 

 毎年、金沢21世紀美術館の「まるびぃシネマ・パラダイス!」というイベントに参加している。35ミリフィルム映写機を備える21美のシアター21が会場。フィルム上映が主流だった時代をほとんど知らない地元の学生たちが中心となって企画・運営し、フィルムで邦画の名作を上映する。学生にとっても観客にとっても、フィルム上映に接する貴重な機会だ。

 今年は「脚本家 橋本忍の描く黒い影」と題した特集上映。橋本といえば、黒沢明監督の『羅生門』でデビューし、『七人の侍』、『砂の器』、『八甲田山』など、日本映画史に残る重厚で見応えのある作品を数多く生み出した名脚本家だ。今回は、その中でもその緻密な構成で、社会と、そこに生きる人間の矛盾や業(ごう)を暴く五作品を、二十三、二十四日に上映する。

 二十三日は、今年が生誕百十年の松本清張原作の『ゼロの焦点』『黒い画集 あるサラリーマンの証言』『張込み』の三作品。実家が『張込み』のロケ隊の宿舎になって映画に目覚めたという映画評論家の西村雄一郎氏をゲストに迎えたトークイベントもある。

 二十四日は黒沢明を含む五人が共同で執筆した『悪い奴ほどよく眠る』、『白い巨塔』の二作品。トークには、橋本へのインタビュー経験もあり、著書に「脚本家 橋本忍の世界」がある金沢大の村井淳志教授を迎え、橋本脚本の魅力を語ってもらう。

 すさまじいスピードであらゆるメディアが刻々と更新されていく中、目の前の情報に接しているだけでいっぱいになり、古典的名作に触れるきっかけが少なくなっている。しかし古い作品だから、白黒だからというだけで敬遠するのはもったいない。

 参加している学生も、初めて橋本の名前を知ったという人がほとんどだったが、見た後で作品を語る彼らの表情はとても生き生きとしていた。時代と世代を超えて輝く作品に触れる絶好の機会だ。

 上映の詳細は金沢21世紀美術館のホームページで。(問)同美術館交流課076(220)2811。 (シネモンド支配人・上野克)

 

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