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北陸文化

あいちトリエンナーレ補助金不交付 「表現の萎縮生む」抗議

鷲田めるろさん文化庁の外部委員を辞任

 愛知県で十四日まで開かれた国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」でキュレーター(展示担当学芸員)を務めた鷲田めるろさん(46)=元金沢21世紀美術館学芸員=が、文化庁の芸術祭への補助金を全額不交付にしたことに抗議し、同庁の外部委員を辞任した。鷲田さんは「事後的に補助金を出さないことになれば、美術館やキュレーター、作家らの表現が萎縮しかねない」と話している。

「あいちトリエンナーレ2019」でキュレーターを務めた鷲田めるろさん=金沢市内で

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 鷲田さんによると、不交付が発表された九月二十六日、同庁から委託されていた日本の現代美術の海外発信を目的にする「アートプラットフォーム事業」の委員と別の委員(非公表)の辞任を申し出て、受理された。「文化庁は不交付の理由を手続き上の問題としているが、額面通りに受け取ることはできない。『平和の少女像』を『表現の不自由展・その後』で展示したことが政府の意向に沿わなかったためだと思う」と話す。

 文化庁が事後に補助金交付を取り消すことは異例。鷲田さんは「美術館やキュレーターが公的な助成金や企業の協賛金を得て展覧会などを行うことは多いが、補助を出す団体、企業からは独立して展覧会は組み立てられるべきものだ。事後に取り消されれば、金を出す側に気に入られるような内容しかつくれなくなってしまう。美術は政治や経済を代弁する道具ではなく、そもそも美術が持つ、作品からいろんなことを考えてもらうという本来の機能が果たせなくなるのは、社会全体にもよくない」と指摘する。

 さらに「今回は展示すること自体はできたはずだったのに、外部からの脅迫、大量の電話による抗議で中止しなくてはならなくなった。政府はそうした外部の力に対し開催を守るべき立場にあったのでは。これでは今後、いろんな美術館などで萎縮効果を生んでしまう」と、政府の姿勢を批判した。

 鷲田さんは、金沢21世紀美術館に開設準備段階からかかわり、二〇一八年三月まで学芸員。一七年のベネチア・ビエンナーレ国際美術展で日本館キュレーターに選ばれ、現在はフリーで活動している。

 あいちトリエンナーレの補助金不交付を巡っては、上智大教授(美術史)の林道郎さん(60)も文化庁の外部委員を辞任している。 (松岡等)

 

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