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北陸文化

【鉛筆画個展】「病と闘う妻にみる命」 木下晋さん 5日から

白山市で近作中心「視線のゆくえ」

「視線のゆくえ」(2017年、縦125センチ、横200センチ)

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 鉛筆による圧倒的なリアリズムで人間を描く富山市出身の画家・木下晋(すすむ)さん(72)=相模原市=の個展「視線のゆくえ」(北陸中日新聞後援)が5日から、石川県白山市のガレリア画廊で開かれる。4年前にパーキンソン病が分かった妻の君子さん(70)の介護をしながら描く日々。「闘病する妻の中に“命”がみえる」と語る。 (松岡等)

 木下さんが君子さんに出会ったのは一九七〇年ごろの富山で。七〇年安保闘争の社会運動の中だった。それから五十年近く。最後の瞽女(ごぜ)と呼ばれた小林ハルさん、元ハンセン病患者の詩人・桜井哲夫さんらをモデルに、過酷な運命の中に生きる人間存在の根幹に迫ろうとする中、君子さんが画業を支えてきた。

 その君子さんがふるえが起きたり動作が緩慢になったりする難病のパーキンソン病と分かったのは四年前。自転車に乗っていて自損事故を起こした。胸の骨折だったが、痛みが長引き、介護が必要なほどになった。不思議に思い専門医にかかって病気が分かる。

 それからは薬が欠かせない日常に。年齢を重ねるごとに症状は悪化し、昨日できたことが今日できないということがある。「それでも意識はしっかりしているから、本当の意味で病気との闘いなのではないか」

  ◇     ◇     ◇

「願い」(2019年、縦200センチ、横125センチ)

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 芯が最も軟らかい10Bから最も硬い10Hまで硬さと濃度の違う鉛筆を駆使し、ケント紙に描くスタイルは変わらない。刻まれたしわ、髪の一本一本のリアリズムに徹するからこそ見えてくる人間の魂がある。「病気で人間の体が壊れていく、ひび割れていく中に命が見えてくる。それを描きたい」

 展示では、君子さんを描いた「視線のゆくえ」「願い」「生命の営み」の三部作など近作を中心に約三十点を展示する。観覧無料。

5日、トークイベントも

 初日の五日午後四時から、木下さんと島敦彦・金沢21世紀美術館館長によるトーク、午後五時半から箏、地唄三味線の竹沢悦子さんが記念ライブを行う(当日三千五百円)。

 十一月二日午後二時からは「本田和と仲間たちによる語り」がある。無料。

 会期は十一月三日まで。毎週火曜、第一と第三水曜日(祝日の場合は翌日)が休廊。(問)ガレリア画廊076(273)0403。

 

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