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北陸文化

【能楽おもしろ鑑賞法】34  能「女郎花」行き違い美しく悲しく

生前の姿で恋の悲劇を語る頼風の霊。ミステリアスな物語に現実感を与える=2010年11月7日、石川県立能楽堂で(金沢能楽会提供)

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 行き違いから生まれた男女の悲劇。それを、能ではお決まりの亡者姿のシテではなく、生前の姿の貴公子が語る作品が、金沢能楽会の十月定例能で上演される。「女郎花(おみなめし)」である。

 悲劇の粗筋は−。訴訟で都に滞在した小野頼風。ある女を妻としたが、訴訟後は疎遠に。女は意を決し、八幡山ふもとの頼風邸を訪ねる。だが家人(本妻?)に冷たくあしらわれ、捨てられたと思って放生川へ。無残な水死体を見つけた頼風は、後を追って入水し、男塚、女塚という二つの墓が並んだ。

 能では、八幡山のふもとで旅僧(ワキ)が、咲き乱れる女郎花の黄色い花に心を奪われていると、花守の老人(前シテ)が現れる。花問答の後、老人の案内で石清水八幡宮を参拝し、男塚、女塚にも行って頼風らの話を知る。

 注目は、僧の弔いで頼風の霊(後シテ)と女の霊(ツレ)が現れる後半。生前の姿で語るため、悲劇が今起きているように描かれるのだ。

 女を埋めた塚から女郎花の花が伸びてきた。彼女の衣と同じ色のため頼風が思わず近寄ると、花はのけぞって逃げる。退くとまた真っすぐに。女の深い恨みに気づいた頼風は自分の罪を悟り、後を追ったと告白する。サスペンス劇場のような展開だ。

 地獄での頼風も描かれる。女に近寄ろうとして剣の山で切り刻まれ、岩に骨を砕かれる毎日。救いを僧に願うところで能は終わる。全編美しいが、冷たい風が吹き抜けるドラマ。異色である。 (笛)

 ◇10月定例能番組(10月6日午後1時から石川県立能楽堂)

 ▽能「敦盛」(シテ渡辺茂人)

 ▽仕舞「山姥」(シテ松田若子)

 ▽狂言「呂蓮」(シテ山田譲二)

 ▽能「女郎花」(シテ島村明宏)

 ▽入場料=一般2500円(当日3000円)、若者割(30歳未満、当日のみ)1000円、中学生以下無料(問)同能楽堂=電076(264)2598

 

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