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北陸文化

【雨乃日珈琲店だより ソウル・弘大の街角から】(20)8月の業務日報

いつもの生活は粛々と

文・清水 博之 書・池多亜沙子

演奏する「に角すい」の飯島はるかさん(右)と、「惑星のかぞえかた」の石坂智子さん=ソウル市の雨乃日珈琲店で

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 三日。先月始まった日本商品不買運動はこれまで当店にあまり影響なく、先週はかなり忙しかったが今日はお客さん少ない。女子3人組、親に言われて日本旅行をキャンセルしたと話している。代わりに当店に来てくれたのだろうか?

 五日。毎週日曜にやって来て同じメニューを注文されるご夫婦がいるのだが、月曜の今日も来てくれた。最近は週二のご来店も多く、心配して来てくれるのかも。

 六日。普段はセール価格だった日本のビールが、どの店でも割引き対象でなくなるなど(「でも売ってるよね」と思わずつっこみ)、右にならえの不買の空気は徐々に広がっている。一方で、市民の抗議を受け中区が不買運動の垂れ幕を撤去したというありがたいニュースも。

 十一日。お客さん少ない。と、油断していたら満席になりてんやわんや。昨日行われた音楽フェス「ソウル人気」のために来韓した日本人観光客も何組か。日本のアーティストの出演にも盛り上がったそうで、文化を愛する人々の間に国同士の葛藤は関係ないなと改めて。

「生活」(2014年)。生きる活動。韓国に移住してから書くようになった言葉。

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 十六日。日本からミュージシャンの飯島はるかさんと石坂智子さんが来て、当店で素晴らしいライブを披露してくれる。集客に不安はあったが、予想以上に観客が集まり大成功。ふたりは他にも弘大の各会場に直接連絡をとり、四日間のライブを自らセッティングしていた。現地の人たちと交流を深めながらキラキラとした目で毎日を過ごすふたりの姿に、私たちも刺激を受けた。

 十八日。週末なのにお客がかなり少ない。韓国で商売する日本人の友人が来て、売り上げが減っていると話す。不買の風は有名ブランドばかりでなく個人店にまで及んでいるのかとしょんぼり。

 十九日。と思いきや、月曜にもかかわらず満席続き。うれしくも「なら昨日来てよ〜」と言いたくなる。

  *      *     *

 当店に不買運動の影響がないとは言いきれないが、いつものお客さんは変わらず来てくれるし、小さい店なのでそれで問題ないと言える。政府同士の争いに心乱されることなく、いつもの生活を粛々と送っていきたい。(しみず・ひろゆき=ライター、いけだ・あさこ=書家、金沢市出身)

 第四土曜日に掲載します。

 

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