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北陸文化

【書籍】徳沢愛子さん 「金沢方言詩集II」を出版

…… いんぎらぁと やらこい いちゃけな へしない はしかい かたいもん おんぼらぁと つまつまと だんない ……

懐かしさ温かさ残したい

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 日本ペンクラブ会員で詩人の徳沢愛子さん(80)=金沢市=が新詩集「徳沢愛子金沢方言詩集II『咲(わろ)うていくまいか』」(能登印刷出版部)を出版した。方言詩に取り組んで二十五年以上。「金沢の方言を詩という形で残したいという思いがある。明るく、読む人を元気づけるものであってくれれば」。詩集には、方言でしか表現できないやさしいユーモアと温かみがあふれている。

 金沢生まれ、金沢育ち。室生犀星にあこがれて中学二年生のころから詩を書き始めた。方言で詩を書くようになったのは「親がしゃべっていた言葉が、私の詩の小さなアンテナにひっかかったのかな」。

「金沢方言詩集II」を出版した徳沢愛子さん=金沢市内の自宅で

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 例えば「だら」「だらぶち」は、金沢では最もポピュラーな方言の一つ。その「だら」に注目した一編「だらんことしても」。

 「少年野球の監督は 三振すると叫んだ/えーい あほんだら(バカ)/お前 半だらかぁ どこに目ぇつけとる」。詩の中で、おばあちゃんも、気のおけない仲良しも、人のことを「だら」という。しかし「どのお人もだらんこと(バカなこと)しても/目ぇだきゃ 笑ろとった/冬の太陽みたいがに」。

 詩集のタイトル「咲(わろ)うていくまいか」は、標準語なら「笑っていこう」という意味になる。「『咲う』をわらうと読むのを知らなくてね。おもしろいからタイトルにした」。朗らかな人柄そのままだ。

 「だいばらな(大変な)こともなく」「がんこ(すごい)な寂しさ」「ぼんのくび(えり首)伸ばいて」の三章に、過去に発表した作品の改題を含めて計七十五編を収録した。「私の詩はいわゆる『うまい詩』とは違うけれど、温かいものを伝えられればいいなと思っている」

 五人の男児を育て終えた後にやってきたゆったりとした人生、介護や自らの体の衰え、母のみとり、先に死んでいく人々…。時にシリアスなテーマも赤裸々な表現も交えて詩にしているが、方言はやさしく包み込んでくれる。「だんない(大丈夫)、だんない」と。

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 同人誌「笛」への寄稿に加え、年二回のペースで発行し続ける個人誌「日日草」は七十三号を数える。「頭ではまだ四、五十代のつもりなんやけどねぇ」。それでも、母校の中学校で朗読すると「祖母がそんな言葉を使ってた、と言ってくれて」とうれしそう。方言詩はまだまだ続きそうだ。

 「新・北陸現代詩人シリーズ」の一冊。百二十三ページ。千八百円。

 

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