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北陸文化

作家 城山真一さん(金沢在住)新作発表 相続テーマに新境地

「相続」という意外なテーマで新境地を開いた城山真一さん=金沢市東山で

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東山、浅野川近辺が舞台

 金沢市在住のミステリー作家・城山真一さん(46)が同市東山周辺を舞台にした小説「相続レストラン グリル・ド・テリハ」を雑誌「野性時代」(KADOKAWA)7月号に発表した。これまで主に北陸を舞台にした経済ミステリーを書いてきたが、新境地として選んだテーマは「相続」。意表を突いたテーマだが「それがはまった」と、続編にも意欲をみせる。 (松岡等)

 「作品はテーマと世界が合致しないとうまくいかない」。舞台は金沢の東山、浅野川近辺と決め、テーマを探していた。「今の世の中で人が興味あるものは何かと考えた時、老後のことではと思った。民法の大改正もあり、相続はだれもが経験すること」「当たり前で身近なことだが、仲のよかった兄弟がぶつかり合ったり、葛藤があったり。人の汚い部分も浮かび上がる」

 ひがし茶屋街からもほど近い卯辰山の中腹にある洋風レストラン「グリル・ド・テリハ」。名前が泉鏡花の作品「照葉狂言」からとられていることは言わずもがな。しかし舞台設定以上に際立つのが、主人公のウエーター冬木をはじめとするキャラクター。女主人の照葉、皿洗いの花山、料理人の白石は、いずれもが一癖も二癖もあり、秘めた過去の謎が読み手の興味をひく。しっかりした人物像を描くのは、「将来的に映像化も視野に入れて」のことでもある。

「相続レストラン グリル・ド・テリハ」続編も意欲

 「キャラクターが際立つと、話をひねらなくても、勝手に動きだしてくれる。あとはその動きを後追いしていくだけでいい」。レストランでありながら、料理とともに相続相談も売りにするという意外な設定、持ち込まれる相続を巡るもめ事には人間味もあり、四人のチームワークで解決されていく展開で一気に読ませる。読みながら最新の相続の知見を得られるのも魅力。「続編のイメージはできあがっている。次は、ここぞという場面で地元の食材が鍵になるような話も描いてみたい」。今後の展開が楽しみだ。

 作家を志したのは高校時代。最もあこがれた作家が赤川次郎さん。雑誌のコンテストで入賞したが、その審査員が赤川さんだった。今回の作品が掲載された「野性時代」には赤川さんの連載もあり、同じ土俵で作品が並ぶことに。「およそ三十年かかってここまできた。あの時、表彰状をもらっていなかったら書いていなかっただろうな」と、今回の掲載に感慨もある。

 金沢市本多町にある文章教室「おあしす」で修行を積み、何度かコンテストの最終選考まで残りながら、あと一歩のところで落選。株取引をテーマにし、天才女性トレーダーが活躍する「ブラック・ヴィーナス 投資の女神」で、二〇一五年『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、本格的に作家デビューを果たした。

 学生時代から住む金沢を舞台にしたミステリーを書き続ける城山さん。「“ひと”と“まち”に書かせてもらっている。これからも地域の人たちに聞いた話をどんどん盛り込んで作品を作り上げていきたい」

しろやま・しんいち 1972年生まれ。石川県七尾市出身。金沢市在住。金沢大法学部卒。「ブラック・ヴィーナス 投資の女神」が宝島社主催の『このミステリーがすごい!』大賞を受賞。続編は「仕掛ける」(宝島社文庫)。長編ミステリーの新作を年内に刊行予定。

 

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