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北陸文化

公開未定の映画「台風家族」を小説化 「映画もいつか世に出したい」

 市井昌秀監督と早苗さん夫妻

市井昌秀監督

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 金沢市在住の映画監督・市井昌秀さん(43)=富山県射水市出身=と俳優で妻の早苗さん(41)が、「市井点線」のユニット名で小説「台風家族」(キノブックス)を出版した。草なぎ剛さんらが出演し六月の公開が予定された市井監督の同名映画の脚本が元になっているが、映画は出演者の逮捕、起訴で公開は延期されたまま。市井監督が「切っても切れないもの」という「家族」をテーマにした泣き笑いのエンターテインメント小説の出版が、映画公開につながってほしいという願いもこもる。 (松岡等)

 市井監督は二〇〇八年に長編二作目の「無防備」がぴあフィルムフェスティバル、釜山国際映画祭コンペティション部門でそれぞれグランプリ。星野源さん主演の「箱入り息子の恋」で日本映画監督協会新人賞。「ハルチカ」「僕らのごはんは明日で待ってる」など青春映画を手がけ、シリアスとユーモアが交錯する世界観に定評がある。

 「台風家族」は、銀行強盗を起こした父が母とともに失踪し、事件が時効となる十年後に実家に集まった四人の子どもたちが、すったもんだする物語。四人それぞれの視点で描かれ、やがて事件の真相が明らかになっていく。

夫の市井昌秀さんとのユニットで書いた小説「台風家族」をPRする市井早苗さん=中日新聞北陸本社で

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 元々、十三年前に市井監督が脚本を書いていた。小説にするにあたっては、市井監督が主に構成を考え、それを早苗さんが細かく描写していったという。「脚本が生まれた時から夫が何を見せたいと思っていたのか分かっていたから、私が書かなくてはだれが書くという気持ちで書いた」と早苗さん。

 市井監督は「自分も弟も両親を古里の富山に置いて東京で好きなことをやってきた。その罪悪感みたいなものがあって、老いた夫婦と、それを思う家族の話を考えた」と、物語に込めた思いを語る。早苗さんは「私には全部のキャラクターが皆、夫に見えた」と。

 単なる映画のノベライズではなく、小説は小説。「映画を見なくてもおもしろく、小説を読んでから映画を見たらさらにおもしろいというものにしたかった」と早苗さん。「夫の映画にある疾走感を小説でも失わないようにすることにこだわった」

 子どもをのびのびと育てたいという思いから、二〇一二年に東京から射水市の市井監督の実家に移り、翌年から金沢に住む。十一歳と八歳の兄妹の子育て中。早苗さんは「全く縁のない金沢でつながりができた友人たちに子育てなどでも助けられて小説も書けた。感謝しています」という。

ユニット「市井点線」

 ユニット名の「点線」は「星が線で結ばれて星座になり物語が生まれたように、点である人が見えない線で結ばれてこの世の中ができている。いろいろなことがつながってくれたらいいな」という思いで早苗さんが考えた。中国語に翻訳され、台湾での出版も決まった。今後もユニットで小説を書いていくという。

 映画の公開は先が見えない状況だが「小説も映画もわが子のようなもの。完成したからには世に出したいという思いはある」と声をそろえた。

 

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