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北陸文化

【映画】この曲がなければ映画はできなかった 小嶋貴之さん初監督

「パラダイスとエンド」

ノイド(金沢)の曲からイメージ

 北陸発の音楽から映画が生まれた−。金沢市を中心に活躍するロックバンド「noid」(ノイド)の新曲「paradiselost」(パラダイスロスト)からイメージを膨らませ、映像ディレクターの小嶋貴之さん(47)=名古屋市出身=が初の映画「パラダイスとエンド」を制作した。過去の記憶にとらわれる中年の男性と、事故で記憶を失った女子高生が出会い、未来への扉をそっと開く物語だ。(押川恵理子)

金沢のバンドの曲から映画を制作した映像ディレクターの小嶋貴之さん=中日新聞北陸本社で

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〈この街はいつも何も語らない 信号の点滅と途絶えたメロディ〉

 ノイドの新曲を聴き、「街は記憶の集積」というイメージが浮かんだという。「日常を歌っているが、少しだけ寂しげで、ファンタジーがある。この曲がなければ映画はできなかった」

 小嶋さんはミュージックビデオ(MV)を制作して約二十年。森山良子さんや柴咲コウさん、ロックバンド「ザ・ピロウズ」、アイドルグループ「℃−ute」(キュート)らの作品を手掛けた。

 知人のプロデューサーから映画の制作を勧められシナリオを練っていたころ、ノイドから新曲のMVを頼まれた。映画のキャスティングや配給などを担う合同会社「パロマプロモーション」などの協力で、二十八分の短編映画を完成させた。

 朝日がカーテン越しに差す独り暮らしの部屋、信号が点滅する夜の街、海辺…。微妙な光の加減が美しい。二人が砂浜を歩くシーンでは、砂漠をさまようような壮大さも感じさせる。哀愁を帯びた歌声、心地良いメロディーが織りなすノイドの音楽と映像が共鳴する。

映画「パラダイスとエンド」の一場面(小嶋貴之監督提供)

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 離婚して、交通量調査のバイトをしながら小説家を目指しアイデアを集めているヒロオ(43)が主人公。ある春の夕暮れ、息子の養育費を振り込み、別れた妻にメールを送ると、返信があった。「もう振り込まなくていいから」

 その日、自宅に帰る途中、誰かに後をつけられている気配を感じる。帰宅してドアの鍵を開けた途端、誰かに背中を押された。倒れて見上げると、見知らぬ女子高生ミヤ(16)がいた。

 「おっさん、私を誘拐して」。正反対のような二人が出会い、それぞれの人生の歯車が静かに回り出す。行き詰まった状況のヒロオとミヤとのやりとりはまるで漫才のよう。「必要以上に重々しく描くのはリアルじゃない」と小嶋さん。

 「何でも光と影がある。答えは一つじゃない。見る人それぞれに答えがある」。作品にはそんな思いが込められている。

   ◇   ◇   ◇

 映画を編集して制作されたノイドの新曲MVが、音楽レーベル「&records」のウェブサイトから視聴できる。本編は七月二十日に金沢市のメロメロポッチであるノイドの十五周年記念ライブで上映される。午後七時半開演。一般二千五百円、学生千五百円(ドリンク一杯の注文が必要)。小学生以下は無料。

 

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