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北陸文化

【能楽おもしろ鑑賞法】31 能「班女」 内より高ぶる遊女の恋

形見の扇を見る花子。右肩を脱いだ姿が狂女を表している=2006年10月1日、石川県立能楽堂で

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 遊女の恋を扱ったロマンチックな能をご存じだろうか。金沢能楽会の七月定例能で上演される「班女(はんじょ)」である。

 遊女(シテ)の名は花子(はなご)。あだ名は班女。所は美濃の国。都から東国へ向かう客、吉田の少将(ワキ)と恋に落ち、取り交わした扇に見入るばかりで座敷に出なくなった。怒った宿の長(狂言)は花子を追い出してしまう。

 東国の用を終えた少将は宿に寄るが、花子がいない。落胆して都に帰り糺(ただす)(下賀茂神社)に参詣。狂女となった花子を見つけ、扇を見せ合って再会を果たす。

 狂女の花子が登場する後半が見せ場だ。和歌や漢詩をちりばめながら、恋しい人に会えない苦しみを謡い、不安定な気持ちを表すカケリを舞う。すると少将の従者(ワキヅレ)が「いかに狂女、何とて今日は狂わぬぞ、面白う狂いそうらえ」。これ以前の演技は独白だったか。

 花子は再び和歌や漢詩を引いて「床(とこ)すさまじや独り寝の…」と謡うが、ここから約八分間、舞台中央に石のように座って、思いは地謡に委ねる。狂い舞への充電か? 立ち上がるや、欄干に立ち、男が去った空を眺める風情。独り寝の寂しさを謡い、舞い、思われぬ身を嘆く。次第に気持ちが高ぶり「扇(会うぎ)とは空言や」と泣き崩れるのだ。

 班女のいわれは謡本の本文大意で。当日は、感情をどんどん内に蓄積させる能の表現を味わおう。(笛)

◇七月定例能番組(7月7日午後1時、石川県立能楽堂)

 ▽能「班女」(シテ松田若子)

 ▽連吟「氷室」(笠間啓ほか)

 ▽狂言「重喜」(シテ鍋島憲)

 ▽能「小鍛冶・白頭」(シテ広島克栄)

 ▽入場料=一般2500円(当日3000円)、若者割(三十歳未満、当日のみ)1000円、中学生以下無料、(問)同能楽堂=電076(264)2598

 

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