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北陸文化

【美術】愛 本当の意味は? 「LOVEと私のメモリーズ」横山奈美さん個展

「SexyManandSexyWoman」(2018年、縦194センチ、横400センチ)と横山奈美さん

写真

金沢21美アペルトシリーズ

 蛍光色のネオン管の看板に描かれた横たわるセクシーな男女、あるいはオレンジ色にあやしく光る「LOVE」の文字。どこかで見たようなちょっと安っぽいネオン。よく見るとネオンの後ろの配電盤までが緻密に描かれている。チープな光とリアルな影が「愛って何?」と問いかけてくる。

 画家・横山奈美さんの個展「LOVEと私のメモリーズ」が、金沢21世紀美術館が今後の活躍が期待される若手の作家を紹介するシリーズ「アペルト」の一環で開催中だ。横山さんは一九八六年岐阜県生まれ。茨城県在住。二〇一二年に愛知県立芸術大大学院修了。一六年に絹谷幸二賞奨励賞、「日産アートアワード2017」でオーディエンス賞を受賞し注目を集める。

 安っぽく見えるネオンをあえて描く理由を横山さんは「『LOVE』という言葉は、広告や映画、Tシャツ、キーホルダーなどに使われて世界中にあふれているが、本当の意味がすっぽり時代から抜け落ちている。本当の意味で世の中には『愛』が満ちているの? と問いかけたい思いがあった」と語る。

 ネオンは、自らデザインし業者が実際に制作したものを実寸で描く。「興味があったのは背後のフレームや配電線だった。光の部分と影の部分を同等の価値として描くことで、『LOVE』の意味を取り戻せるんじゃないかと」

 トイレットペーパーの芯やチキンの骨など日常で見過ごされているものに注目した静物画を描いてきた横山さん。「日ごろ見過ごしてしまいがちで、主役にならないものを絵の中で主役として描きたいという気持ちがある」という。

 個展のタイトルでもある一人の少女と愛犬LOVEの日々を木炭で描いた連作は、日本がバブル経済にわいた一九八六年から九一年の五年間を想定し、“二人”が過ごした日々のスナップ写真のよう。

 「犬は人間の思う『かわいい』に合わせて品種改良されてきた存在。ペットとして消費されているが、本当の友達のように五年間の思い出一場面一場面を、少女と対等に描いた。人間が愛するって何なのかを、違う表現で考えたかった」。時代の華やかさの一方に、もっと大事なことがあるのではないか。そんな問いを投げかけている。

 六月三十日まで。21美の長期インスタレーションルームで。無料。 (松岡等)

 

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