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北陸文化

【音楽】金沢の独自性 定着 風と緑の楽都音楽祭 3年目

【上】クラシック音楽と能とダンスがコラボレーションした舞台「展覧会の絵」=石川県立音楽堂邦楽ホールで【中】エーテボリ歌劇場管弦楽団との協演で熱のこもった演奏を披露するバイオリンのギドン・クレーメルさん=金沢市の石川県立音楽堂コンサートホールで【下】ボロディン弦楽四重奏団とOEKクラリネット奏者の遠藤文江さんが協演=石川県立音楽堂邦楽ホールで

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 4月28日〜5月5日に金沢市を中心に北陸3県で開かれたクラシック音楽の祭典「いしかわ・金沢 風と緑の楽都音楽祭」。「北欧とロシアの音楽」をテーマに有料、無料を合わせ180公演があり、延べ11万3000人が訪れた。「ラ・フォル・ジュルネ金沢」を衣替えした音楽祭となって3年目。音楽祭としての独自性が定着し、実行委員会会長に就いた作曲家の池辺晋一郎さんも「金沢の文化の底力、層の厚みを感じさせた」と評価した。(松岡等)

アーティストの個性がスパイスに

 今年はオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)、スウェーデンのエーテボリ歌劇場管弦楽団、台湾フィルハーモニックという、背景の異なる三つのオーケストラが出演した。互いの指揮者が他のオケを指揮する公演もあり、指揮者のミヒャエル・バルケさんからは「同じビルの中に三つのオーケストラが一緒にいることが驚き」との声も上がった。

 世界的なバイオリニストのギドン・クレーメルさんは、独奏、協奏曲、トリオなど三日間でタイプの異なる四公演で圧倒的な演奏を披露。ロシアの名門・ボロディン弦楽四重奏団も世界トップクラスのアンサンブル力を見せつけた。ここにOEKのクラリネット遠藤文江さんが加わったモーツアルトの五重奏曲は音楽祭ならではの企画だった。

 音楽ジャーナリストの潮博恵さん(石川県野々市市出身)は「カラーの強いアーティストが音楽祭のスパイスになった。東京から評論家や音楽ジャーナリストが訪れ、広がりが全然違った」と話す。

左手だけの演奏 継続開催に期待

 左手のピアニストによる演奏会は初めて開催。昨年のオーディションで選ばれた瀬川泰代さん(オーストリア在住)、月足さおりさん(熊本県在住)は「素晴らしいオーケストラと協演できる機会を与えていただき感謝しかない」と声をそろえた。

【上】左手のピアニスト瀬川泰代さん【下】左手のピアニスト月足さおりさん

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 左手ピアノの第一人者・舘野泉さんを含む三人の演奏は石川県立音楽堂邦楽ホールを埋めた聴衆を魅了。オーディションで審査も務めた作曲家の一柳慧さんは「こうした機会をつくってあげられることは大きな貢献でもある」、吉松隆さんは「左手だけの演奏といってもそれぞれ身体に違いもあり、三人の個性が聞けた」と話し、継続した開催に期待を込めた。

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 能楽とクラシック音楽のコラボレーションは金沢ならではの恒例企画として定着。能楽師の渡辺荀之助さん、渡辺茂人さんらとダンサー中村香耶さんが出演したピアノ三重奏版の「展覧会の絵」は、「和と洋のコラボ」という決まり文句を超えた高い芸術性を示した。

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 プロの音楽家とオーディションなどで選ばれた地元の若手演奏家が同じ舞台で演奏する機会もこの音楽祭ならでは。エーテボリ歌劇場音楽監督でもある指揮者ヘンリク・シェーファーさんは「欧州では考えられないが、ここでは自然」と。バルケさんは「自分が音楽家になろうと思った理由を思い出させた」と評価。潮さんは特に、本公演前の四月三十日、オーディションで選ばれた地元の若手演奏家とプロの奏者によるピアノコンサートを挙げ、「全国的にも格別な音響の県立音楽堂コンサートホールで、地元でピアノを学ぶ人が演奏する大きな機会になった」とその意義を強調した。

プログラムに少しゆとりあれば

 池辺さんは独自の音楽祭となり三年目の今年を「独自性が定まり、誇っていい音楽祭になった」と総括。一方で今後の課題に「やむを得ない面もあるが、プログラムがぎゅうぎゅう詰めで聴きたくても聴けない公演もあった。プレイベントを含めてもう少しゆとりがあれば、より豊かになる」と話した。来年は東京五輪・パラリンピックにちなんで「音楽でつなぐ世界の和」をテーマにする。

 

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