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北陸文化

【美術】幅27メートル モノトーンの「森」 大岩オスカールさん 金沢21美で制作

壁面に描かれた作品「森」について語る大岩オスカールさん=写真はいずれも金沢市の金沢21世紀美術館で

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 金沢21世紀美術館の本年度最初の企画展「大岩オスカール 光をめざす旅」が二十七日から始まる。大岩さんはブラジル・サンパウロ生まれの日系二世。現在はニューヨークを拠点に鮮やかな色彩によるダイナミックな空間構成で、現代社会や環境問題などに目を向けた作品を描き続ける。開会を前に大岩さんが二週間、金沢市に滞在し、幅二十七メートルのドローイング作品を制作した。 (松岡等)

27日からの企画展を前に

 ドローイングのタイトルは「森」。21美の光庭に面した壁に幅二十七メートル、高さ四・五メートルというスケールでモノトーンの森を出現させた。アマゾンの密林を思わせるような森の中に白いウサギと黒いネコがいる。「頭の中でイメージした森。展覧会全体のテーマが光なので、光と闇を表現した」という。

 もともとサンパウロ大で建築を学んだだけに「建築に興味がある。ここは広場のようで素晴らしい」という大岩さん。大規模個展は二〇〇八年に東京都現代美術館で開いた「大岩オスカール 夢みる世界」以来十年ぶりで、21美の展示室の特性を生かした展示になりそう。今回のために描いた新作「光をめざす旅」を含め、近作を中心に六十点を紹介する。

【上】壁面に作品「森」を描く大岩オスカールさん【下】《光をめざす旅》2018年(高さ2.24メートル、幅3.33メートル)

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 大岩さんは一九六五年にサンパウロで日本人の両親の元に生まれ、サンパウロ大学建築都市学部卒。九一年から東京を拠点に制作してきたが、二〇〇二年にニューヨークに拠点を移した。「それぞれにいいこと、悪いことがある」。展示では「旅」もテーマの一つだ。

 「ニューヨークに行くことが決まった後、しばらくして9・11があった。迷いもある中で行ったニューヨークではその後、戦争が始まり、オバマが政権を取り、今はトランプ。さまざまなことがあり、世界の見方が変わった」。アメリカ社会を俯瞰(ふかん)で見詰めるシニカルな作品が生まれた。

 また「光」は大岩さんのもう一つの大きなテーマ。洋金箔(きんぱく)、洋銀箔やLEDライトを使って制作した作品を暗がりの展示室で見せる。そして故郷であるブラジルの密林に自然に注ぐ光からは、複雑な世界の中に大岩さんが見いだした希望を表現しているようでもある。

6月28日 イベントも

 大岩さんの作品にインスピレーションを得た米国の作曲家チャド・キャノンさんが作曲した交響曲「夢見る世界」を展示室内に流し、絵画と音楽の融合も体感する仕掛けや、会期中の六月二十八日にはミュージシャン宮沢和史さんによるブラジル文化をめぐるトーク、詩の朗読と弾き語りコンサートも予定している。企画展は日本航空が協力する。

 

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