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北陸文化

女性同士の連帯は力に 三浦しをんさん「ののはな通信」を語る

記者会見で喜びを語る三浦しをんさん=金沢市のしいのき迎賓館で

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第25回島清恋愛文学賞

 第二十五回島清恋愛文学賞を受賞した三浦しをんさんの小説「ののはな通信」は、横浜の女子高校に通う二人の女性の恋愛と、その後も互いに支え合って生きる人生を手紙やメールなどだけで描く書簡体小説だ。三浦さんは、贈呈式があった金沢市で記者会見。「女性同士の恋愛について書いた小説に、当然のこととして『恋愛』とついた賞を与えてもらい、うれしかった」と、率直に喜びを語った。

 作品は二〇一二年から一五年にウェブ連載し、書籍になるまでにさらに三年を費やした。書簡体というスタイルをとった理由を「二人の個性や考え方が年月が変化することが、生っぽく描けるかなと思った。それと本当のことを言っているのかどうかといった謎も生まれ、二人の間のちょっとした駆け引きなんかも描けるかなと」と説明する。

 一方で「どこをどの程度隠すか、どう説明的になりすぎずに話を進めるかという構成では、ちょっと失敗したかな」とその難しさも。それでも「いろいろ書き方があるんだと実感できた。書簡体小説をいろいろな作家が書いてきたのも納得できたし、刺激的でおもしろい形態だと思えた」。

 女子高校生の世界は小説「秘密の花園」でも書いている三浦さん。今回の作品では、主人公たちの四十代半ばまでが描かれる。「二十年近くたって書き切れなかったものを感じていた。高校時代の友人もやがては女性は結婚したり、子供が生まれたり、仕事があったりして、環境も立場が変わる。それでもお互いに支え合って生きてきたな、つらいことや苦しい気持ちがあっても、一緒にいなくても、女性同士の連帯というのは力になると感じていて、そこを書きたいなという思いがあった」という。

 ラストで東日本大震災についても書いた理由を震災の前に出版していた「光」が、大津波によって登場人物たちの運命を変えてしまう作品でもあったからだという。

 「現実に大きな津波が起き、自分がどうこう言ったり、何かをできたりすることはない。それでも、大きな理不尽なできごとが起きたとき、それに対して希望という意味での『光』、人が持ち得るいい面についても追求して提示できないか、自分で考えなきゃいけないなと思っていた」

     ◇

 一九七六年、東京都生まれ。早大卒。二〇〇〇年に「格闘する者に○(まる)」でデビュー。〇六年の「まほろ駅前多田便利軒」で直木賞、一二年「舟を編む」で本屋大賞、一五年「あの家に暮らす四人の女」で織田作之助賞を受賞。他に小説「むかしのはなし」「風が強く吹いている」「光」「神去なあなあ日常」などがある。

 

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