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北陸文化

【能楽おもしろ鑑賞法】24 能「通小町」 必死の百夜通い舞う

小野小町(右)の成仏を妨げようと迫る深草少将の幽霊。激しい執心の能だ=2009年10月4日、石川県立能楽堂で

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 金沢能楽会の定例能も来月、ことし最後の公演に。能二番のうち、劇的で現代人にも分かりやすい「通小町」について、鑑賞のポイントを探ってみよう。

 物語は、「百夜(ももよ)通ったらあなたを受け入れる」という小野小町の言葉を信じ、雨でも雪でも徒歩で通い続けた深草少将(四位少将(しいのしょうしょう))が主人公。九十九夜目に急死した哀れな青年だ。有名な逸話であり、能では説明なしで「百夜通い」が再現される。

 まず山城八瀬の僧(ワキ)の庵(いおり)へ、薪と木の実を毎日届ける女(ツレ)が登場。木の実の数々を謡うが、柿やクリなどとともに落ちジイ、マテバシイなどシイが三度も出てくる。まだ出ぬ四位少将の暗示であり、耳をダンボに。

 女が小町の幽霊だと悟った僧は、成仏させるため戒を授けようとする。そこへ男(シテ)が割り込んできた。衣をかぶっているのは目に見えない設定。声だけの登場だ。衣の下には、やせ衰えた顔にぼうぼうの頭髪。小町を恨む少将の幽霊である。

 百夜通いの様を罪滅ぼしのため再現してみせるが、注目してほしいのは謡本でイロエとなっている囃子(はやし)だけの舞事。笠(かさ)で顔を隠し、中腰になって舞台を三角に回る。それだけで少将の思いつめた心が感じられるだろう。

 あと一夜だと気づき、着飾って小町の元へ急ぐ場面。黒い笠を落とし、華やかな扇で舞うが、たった一点の持ち替えで気持ちの変化を表現する鮮やかさ。美女の一言で「煩悩の犬」となった男の葛藤をお見逃しなく。 (笛)

◇十二月定例能番組(12月2日午後1時、石川県立能楽堂)

 ▽能「岩船」(シテ渡辺茂人)

 ▽連吟「紅葉狩」(長野裕ほか)

 ▽狂言「不見不聞」(シテ能村祐丞)

 ▽能「通小町」(シテ渡辺荀之助、ツレ藪克徳)

 ▽入場料=一般2500円(当日3000円)若者割(30歳未満、当日のみ)1000円、中学生以下無料、(問)同能楽堂076(264)2598

 ※能楽堂の駐車場は工事中。石引駐車場を使えば駐車券がもらえる。

 

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