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北陸文化

パーキンソン病の人たちの「ダンス・ウェル」 「セラピーではなく、アート」

ダンスのワークショップで体を動かす参加者

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金沢 講師に なかむらくるみさん

 手足の震えや体のこわばりなどが起きる難病、パーキンソン病の人たちを対象にイタリア・ベネト州のCSC現代演劇センターで行われているダンスプログラム「Dance Well(ダンス・ウェル)」のワークショップが四日、金沢市の石川県立歴史博物館であった。美術館や博物館などアートの場を会場として行う表現活動の一環であること。日本では初めての試みだが、参加者らは約一時間、伸び伸びと体を動かし、笑顔を見せた。

 ワークショップは、ダンス・ウェルの普及のために同センター責任者でダンス・ウェルを主宰するロベルト・カザロットさんらの来日に合わせて開催。講師は、同市を拠点にする振付師・ダンサーのなかむらくるみさん(29)が務めた。もともと金沢で障害者のダンス活動に取り組み、この夏にイタリアで開かれた研修でプログラムを学んだ。

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 ワークショップにはパーキンソン病の人のほか、なかむらさんとともにダンスを楽しむ知的障害や身体障害のある人、金沢21世紀美術館の関係者、一般からも含め約三十人が参加した。

 まずは、座ったまま自分の体をさわったり、ゆっくりとした深呼吸から。静かな音楽を聴く、音に合わせて体を揺すってみる、相手の顔を見続ける、指で点を打つような動きをしてみる、体を使って名前を書く、手をつないで軽く握手、体をオリジナルな動かし方であいさつ、ペアで片方の動きをまねてみる…。

 目を合わせにくい、狭い場所を通るのが苦手など、病気の特徴を考えた上でのプログラム。なかむらさんが声をかけながら体を動かすうち、表情がほぐれ、生き生きとしてくる。

 画家の鈴木治男さん(71)=石川県小松市=は家族と一緒に参加した。二〇一三年の春にパーキンソン病を発症し、今は技法を変えながら制作を続けている。「温かい気持ちが生まれてくる。いろいろな年代の人、障害のある人とも交わりながら、柔らかな気持ちで体を動かせた」と笑顔を見せた。

 パーキンソン病友の会石川支部の日向浩一事務局長(64)によれば、支部の会員は百十人。県内の患者数は約千百人とみられるという。二十四歳で発症したという岡田芳子さん(68)=同県白山市=は「パーキンソン病では表情を出したり、目と目を合わせたりしにくく、感情を表現するのが難しいが、特徴について考えられていた。体を動かすことへのモチベーションをつくり出すところがすごくいい」と話した。

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 ダンサーでもあったカザロットさんが重要視するのは、美術館や博物館などアートの場を会場にすること。「治療やセラピーではなく、あくまでアート」と強調する。現地では最初は十人ほどでスタートしたが、一定の期間を経て、ダンスなどのパフォーミング・アートのフェスティバルにダンサーとして出演するほどになっているという。

 なかむらさんはダンサーとしての活動の一方、市内の福祉施設などでダンスやヨガを教え、昨年は21美の企画「カナザワ・フリンジ」で知的障害者とパフォーマンスを披露。今春には近藤良平さんと障害者ダンスチーム「ハンドルズ」(さいたま市)の金沢公演に参加した経験がある。

 カザロットさんは今後の活動に向け「地域の中で活動が孤立しないようにすることが大事。イタリアでも病気以外の若者や高齢者らにも開かれた場にし、定期的に誰もが参加できる環境をつくった」と話す。

 イタリアでは「市の直営で行われている」といい、資金面を含む支援をどう集めるかが課題になる。なかむらさんは「参加者のほか自治体、企業などとも協力して継続可能な活動にしたい」と、協力を呼びかける。 (問)なかむらさんのメール=100imarumaru@gmail.com (松岡等)

 

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