将来と自身の不安重ね
真っすぐ前を見つめているのに、表情や前に回した腕のポーズがどこか不安げだ。階段があるから地下室だろうか。
描き始めたのは東日本大震災の前。けれど壁に張られたスナップ写真や、足元をぬらす波に洗われたアルバムが東北を襲った津波を連想させる。
同級生だった女性の家を訪ねて取材。女性の将来への不安と自身の不安を重ねて描いた。赤い糸のような輪は、モデルの母親の世代からのつながりを表現している。よく見ると写真の中には母親の世代のモノクロの写真も見える。人の人生は前の世代からつながっているのだ。
「透明感などは絵でしか出ない。これからも人物を描き続けていきたい」
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