トップ > 出発進行 > <2>命守るため 見て聞いて

ここから本文

<2>命守るため 見て聞いて<< 出発進行TOPへ

写真

震災当時の様子や復興に懸ける思いを語る熊谷松一さん。高校生らが車窓越しに町並みを見ながら耳を傾ける=岩手県大船渡市の三陸−吉浜間で

 「このホームは海抜16メートルありますが、津波は越えた。がれきだらけになりました」

 唐丹(とうに)駅(岩手県釜石市)に着いた列車内で、三陸鉄道社員の熊谷松一(しょういち)さん(55)が語る。三鉄が団体向けに貸し切り運行する「震災学習列車」。社員らをガイドに、東日本大震災の被害や復興の現状を伝えている。

 2012年6月に始め、予定も含めて今年3月末までに計1197団体、5万4451人が乗車。熊谷さんも2万人以上を案内した。

写真

 実は、企画が持ち上がった時に社内はもめた。「被災地を見せ物にするのか」。だが、熊谷さんは「やるべきだ」と思った。

 震災当時、出張先の岩手県久慈市から大船渡市の事務所まで車で戻る途中だった。「早く帰らないと」。避難は全く頭に浮かばず、偶然、山道を通って難を逃れた。「恥ずかしい話。だから、ガイドは自分に言い聞かせる意味もある」

 高校生らが耳を傾ける。熊谷さんは震災後に高い防潮堤ができたことを伝え、戒めも欠かさなかった。「自然に対して、人間が造った物は弱いんです」

 文 ・日下部弘太
 写真・田中 久雄

 三陸鉄道 岩手県で1984(昭和59)年に開業した第三セクター路線。宮古−久慈間の北リアス線、盛−釜石間の南リアス線を運行している。2011年の東日本大震災で全線が不通となったが、5日後に一部で運転再開。14年4月に全線が復旧した。今年3月23日、震災から不通が続いていたJR山田線の釜石−宮古間が復旧、三鉄に移管され、計163キロの三セク最長路線になる。合わせて全線を「リアス線」と改称する。

復興へと歩む三陸鉄道の沿線を巡る(動画)

 

この記事を印刷する

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山
地方選挙

Search | 検索