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2004年の福井豪雨で流失し、再び架設された第7足羽川橋りょう=福井市の小和清水(こわしょうず)−美山間で

 バタンバタンバタン。にぎやかな音を立て、列車が山際の橋を渡る。眼下の足羽川は碧(あお)く、淀(よど)みない。

 2004年夏。早朝からの雨は凄(すさ)まじく、川は茶色く濁った。越前大野駅員だった大谷正直さん(60)の脳裏に焼き付く。乗り込んだ代行バスの窓の向こう側で「水がつるつるいっぱいだった」。濁流は、町を、線路を、のみ込んだ。

 翌朝、ちぎれた線路の前で、山本良一さん(64)は茫然(ぼうぜん)と立ち尽くす。一乗谷駅から美山駅までの橋7本のうち、5本が流された。

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 我に返る。越前大野鉄道部長として現場を統括する任を果たさなければ−。豪雨から2日後には、代行バスが福井駅と越前大野駅をつないだ。3年後、全線復旧の日。満員の列車から見る景色は、涙でにじんでいた。

 越前大野駅長になった大谷さんは、うれしくて、寂しい。越美北線は福井豪雨を乗り越えたのに、乗客の姿は減っていく。

 それでも列車は線路に音を刻み続ける。笑顔の人、眠る人、スマートフォンの画面を見る人、皆を乗せて。ピョー。橋を渡りきる直前、気笛を高らかに響かせた。

 文 ・片岡 典子
 写真・布藤 哲矢

 JR越美北線 越前花堂(はなんどう)−九頭竜湖の22駅、52.5キロの非電化路線。全ての列車が福井始発で越前花堂までは北陸線の線路を走る。愛称は「九頭竜線」。1960(昭和35)年に南福井−越前花堂−勝原(かどはら)間で開業。72年に全線開通した。南福井−勝原では貨物営業もしたが82年に全線で廃止。現在の運行車両は、キハ120系気動車の1〜3両編成。

豪雪地帯を走る越美北線(動画)

 

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