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【大相撲】

あれでは貴景勝が気の毒だ 白鵬による“蛇の生殺し” 屈辱的でもあったろう[北の富士コラム]

2019年11月24日 21時16分

白鵬(左)は寄り切りで貴景勝を下す

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◇24日 大相撲九州場所千秋楽 (福岡国際センター)

 14日目に優勝が決まっているので何となく場内も静かで、楽日独特の緊張感もない。解説をしている私も、世間話に毛の生えた程度の差し障りのない話しをする以外にないのである。

 それでも炎鵬の相撲だけは別である。7勝7敗。対戦する相手は大栄翔。すでに勝ち越しを決め、来場所の小結昇進も決まったようなもの。おまけに白鵬に土をつけているので殊勲賞も頂きである。よりによって何もこんな強いのと当てなくてもよいのに。審判部も情け容赦ないものだ。

 私の予想は突っ張り2、3発で土俵外、負け越しである。ところがどっこい。炎鵬は大栄翔の右の突っ張りを巧みにかわし、十分の左差しを果たした。

 こうなれば話は別である。大栄翔は目標を外されて上体が大きく泳いだ。その機を逃すまいとばかり、左を深く差してすくい投げで大栄翔を鮮やかに転がした。大栄翔はある程度変化も予想したかどうか分からないが、定位置で見てしまったのが敗因だった。

 炎鵬は大きな一番を会心の相撲で勝利をもぎ取った。師の白鵬に勝った大栄翔に勝ったのだから大したものだ。時代劇なら見事「仇討ち」を果たしたということになる。白鵬もインタビューでそのことをうれしそうに語っていた。露払いの石浦も勝ち越したのだから三重の喜びだろう。

 その白鵬は待ったを1回、すぐに右四つに組み止めて勝利を確信する。しかしどういうわけか、じっと止まって動かない。慎重と言う人もいるが、そうではあるまい。すぐに勝負をつけるにはもったいないのでじっくり勝負の瞬間を味わったに違いない。

 いくら何でもあの時間のかけ方は異常とも思える。白鵬のこことだから腹に一物あるのかもしれない。邪推だろうか。あれでは貴景勝が気の毒だ。まるで蛇の生殺しである。屈辱的でもあったろう。貴景勝に本当の胸の内を聞いてみたい。

 もっとがめつくなった方が良い。その良い例が白鵬だ。ライオンは小さな獲物を獲るときでも全力を尽くすという。石橋をたたいても渡らないぐらいの執着心も大切になってくる。

 せっかくの千秋楽なのに説教じみた話になった。何はともあれ、終わったのでホッとはしている。今場所も相変わらずの下手なコラムを読んでいただきありがとうございました。皆さんがこの新聞を読む頃、私は機上の人となっています。東京に帰ります。

 それでは良いお年をお迎えください。(元横綱)

 

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