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【大相撲】

高安 見事なひと突きであった…私の「休むべき」の一言で火が付いたなら言ったかいがある[北の富士コラム]

2019年11月16日 23時42分

玉鷲(右)を攻める高安

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◇16日 大相撲九州場所7日目(福岡国際センター)

 7日目は御嶽海も大関、横綱もそれぞれが本来の相撲で勝ってくれた。本来なら、勝ったと書くところだが、今は「勝ってくれてありがとう」、そんな感じである。

 上位陣の相撲は後回しにして、炎鵬の相撲を振り返ろう。対戦相手は佐田の海、立ち合い、炎鵬は例のごとく、低い立ち合いから左を差して食い下がりの体勢を狙った。何度も対戦している佐田の海は、右上手を浅く引き、それを許さない。そして左を差し入れ、炎鵬の上体を起こすことに成功する。

 こうなると炎鵬は戦力をほとんど失ってしまう。ここが勝機とばかり、佐田の海は寄る。炎鵬は下手投げで反撃するが、しょせんは無駄な抵抗である。佐田の海の上手投げに力なく屈した。

 この一番は、すっかり研究され尽くされていた。炎鵬は十分でも、上手を引けば、相手は十二分の体勢となる。さて、どうする炎鵬。手の内は読まれつつある。何か新手を考えねばなるまい。及ばずながら、俺も考えておこうか。

 朝乃山は、持ち前の大きな取り口で2敗を守った。右を差し、上手を引くと同時に出足の速い寄りはとても魅力的だ。これといって、欠点らしいものは見当たらない。稽古さえやっていれば、すごい力士になるだろう。間違いなしである。

 それでは、2大関の相撲に移ろう。6日目のテレビ解説で、高安の相撲を見て、休んだ方が良いと言ったのは私。玉鷲に土俵際まで攻め込まれた高安は、よく残して、右から突き返し、ひと押しすると、玉鷲の体が吹っ飛んでしまった。タイミングが合ったのだろうが、見事なひと突きであった。私のあの一言で、高安の闘志に火がついたとしたら、私も言いがいがあったのかもしれない。しかし、先は長い。この一番を機に、何とか勝ち越せるなら良いのだが、苦しいことは変わらない。

 貴景勝にも、同じ事が言える。妙義龍の張り手に乗じて一気に押し出し。久しぶりに本来の相撲をみせた。あの張り手は、妙義龍ほどの力士にしては、誠にまずい立ち合いであった。それでも気分を一新するに十分の相撲だった。

 白鵬は、宝富士に少してこずったが、落ち着いてさばいた。どうやら白鵬も、本来の姿に戻りつつある。2敗、3敗の力士勢がいかに追いすがっていけるだろうか。

 きょうは8日目だが、まだまだ予断は許されないが、これ以上、上位陣に負けてほしくない。7日目の土俵はテレビで見ていたが、これといった熱戦もなく、特に前半の相撲は淡泊な取り口に終始して、土俵際の攻防が見られなかったのが残念だった。こんな原稿は、実につらい。凡戦を熱戦に書くのは結構、大変である。だから、本日は疲れた。今夜も外出はなし。(元横綱)

 

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