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【大相撲】

大関とりを狙う御嶽海だが…私は低評価 確率は60%ぐらいか[大相撲・北の富士展望(九州場所編)]

2019年11月9日 0時48分

柿色の締め込み姿で土俵に入りし、塩を撒く御嶽海

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 令和元年納めの九州場所が明日から始まる。心配されていた両横綱をはじめ貴景勝、高安も元気いっぱいとは言わないまでも、出る以上は多少の自信はあるものと思える。

 大関とりを狙う御嶽海だが、新聞などの報道では、どこも絶好調とは書いてはいない。それでも本人は強気の発言をしている。何とも不思議な力士だが、このずぶとさが御嶽海の魅力であり強みでもある。昇進するには12〜13勝は勝たねばならない。内容も問われる。かなり高いハードルと言えよう。

 しかし、大関に上がろうとする力士には勢いが必要である。それと下位の力士には星を落としてはならない。御嶽海は腰が伸びるとあっけなく土俵を割ることが多い。常に前に出る相撲をとり続けることが大事だ。昇進の確率は60%ぐらいと低い評価となる。もし、この記事を御嶽海が読んでくれたらありがたい。大いに発奮してもらいたいものだ。

 カド番の高安は期待というより心配の方が強い。舞の海君の報告では、絶不調で休場するのでは、とも述べていた。婚約もしたことだし、何とか頑張ってもらいたいが、それほど甘くはない。8番勝つのは大変だろう。それでは優勝争いを予想してみよう。

 鶴竜と白鵬が出る以上は、当然彼らが最有力になる。稽古の評価もそろってよろしい。鶴竜は時津風一門の稽古が多かったと聞く。正代や豊山相手に絶大な強さを見せていたらしいが、私に言わせてもらえば、もっと骨のある相手とやらなければ何の意味もない。と言っても、みんな稽古場では力を出さないので、鶴竜を責めても気の毒ではある。本場所になると、弱いのが総力を出すから注意することだ。白鵬にも同じことが言える。先場所の初日、北勝富士に一気に押されてそのまま休場してしまった。稽古では負けない相手に一方的に負け、やる気をなくしてしまった。油断もあろうが、力が落ちてきたのは事実である。

 横綱が駄目なら大関に頑張ってもらいたいところだが、豪栄道も取りこぼしの多い力士なので、当てにはならない。例によって舞の海君はかなり肩入れしているが、その手は食わないよ。

 むしろ私は貴景勝を買う。秋場所も絶望的な状態でも12勝し、大関に復帰した。千秋楽の一番で大胸筋を痛めてしまったが、驚異的に回復し、出場に踏み切った。その精神力の強さを見込んで優勝候補に挙げてみよう。

 とにかく望むことはお客さまが満足する熱い戦いを見せてもらいたい。日本中を熱狂させたラグビー。あるいは7日のボクシングの井上尚弥の不屈の闘志。タイガー・ウッズの圧倒的な強さ。国民の皆さんは今でも熱い戦いの余韻を楽しんでいる。

 今、ここでだらしのない相撲を見せつけられたら、大相撲の熱は一気に冷めてしまうのは間違いない。大きな力士が引いたり、はたいたり、立ち合いに逃げたりの相撲だけはとってほしくない。百年の恋も一気に冷める。そして体の大きな子どもはみなラグビーにとられてしまうだろう。

 そんな意味でもこの九州場所は大事な場所になると思っている。満員御礼が続いて、協会も力士も緊張感が薄れているのではないか。文字通り、ふんどしを締め直す時ではないだろうか。

 ところで、私も63回目の九州場所を迎える。1957(昭和32)年の今ごろ、福岡に来たわけだ。当時、北海道の人間は、東京までが日本だと思っていた。少なくとも私はそうだった。地図で知ってはいたが、九州は外国であった。私は63年間、1場所も休まずに来ている。福岡、博多は本当にいいところで、大好きだ。今もほとんどの力士がその思いだろう。博多にはいい思い出がいっぱいだ。中には苦い思い出もあるが、今場所はその思い出話を少しずつ書いてみようと思っています。かなり脱線するかもしれません。

 それでは、千秋楽までお楽しみください。(元横綱)

 

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