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【大相撲】

ケガ人続出…稽古が足りないのです

2019年7月15日 紙面から

◇北の富士評論「はやわざ御免」

 とうとう豪栄道も休場してしまった。場所前から肩を痛めていると聞いていたので、こんなこともあろうかと思っていただけに、この休場は平静に受け止めている。

 ケガを治して秋場所には元気な姿を見せてもらいたい。稽古場では無類の強さを見せているので、体さえ良くなればまだ取れる。それにしても大関が次々に姿を消し、残るは高安ただ1人。全勝の両横綱に最後まで食らい付いてもらいたい。

 豪栄道の休場で一層さびしくなった土俵だが、炎鵬や照強の小兵力士、将来性豊かな貴源治の活躍で盛り上げてほしいものだ。

 と、ここで小言は終わらせようと思ったが、もう少しだけ言わせてもらいたい。私も大関は4年近く務めたが、休場したことはない。負け越しは初優勝した後の2場所だけ。特別頑強な体をしていた訳でもなかった。大きなケガや内臓の疾患がなかったのが幸いしたと思っている。今の力士は、体は大きくなり、酒をバカ飲みする力士も少ない。稽古だって、それほど激しいことをしているとも思われないのに、若い力士たちも含めケガ人ばっかりだ。

 ここまで書くと、すでに原因はお分かりでしょう。つまり稽古が足りないのです。一日10番くらいで満足し、形ばかりのぶつかり稽古。日曜日は稽古は休み。いったいいつ稽古をするのか。笑わせるではないか。

 昔こんな笑い話をしたことがあった。

 稽古は少なめに、風呂は早めに、飯は多めに。相撲取りは楽なものだ。

 まさに現在はこんな状態である。部屋持ちの親方は真面目に考えなければ、今は一見隆盛に思えても、そうは遠くない将来、苦境の時代が来るような気がしてならない。横綱2人もいい年齢だし、大関は下手をすると年内には高安1人になるかもしれない。

 大関候補も御嶽海を筆頭に何人かはいるが、大して厚くもない壁にぶち当たっている。そんな状態だから炎鵬や照強の小さな力士に大きな期待をしなければならない。とても彼らが大関、横綱になるとは思えないのにである。

 そして十両を見渡せば元幕内力士ばかり。昔、十両の取り組みが始まるとランチタイムと呼ばれていたことを思い出す。十両陣に有望力士が少ないので、琴ノ若や幕下の納谷、朝青龍のおいっ子の強くなるのを待ち望んでいる状態である。実に情けない話ではないか。

 どうもきょうは虫の居所が悪いようだ。テレビを見ながら、この原稿を書いている。炎鵬も、貴源治も負けた。そろそろ彼らも力尽きてきたようだ。

 今、御嶽海が逸ノ城を押し出した。立ち合いが合わずに御嶽海が果たして当たれるか心配したが、無用だったようだ。逸ノ城に一度は左上手を取られたが、右ハズから肘でも使ったのか、うまく切り、左もハズになり、前に出て力強く押し出した。7日目の朝乃山戦といい、8日目の相撲も文句なしである。ぜひこの2敗を死守し、優勝もあきらめないでもらいたい。高安は玉鷲の猛攻にも一歩も退くことなく前に出て、力ずくでねじ伏せた。気力あふれる相撲で1敗を守ったが、どうやら左腕を痛めたようだった。心配である。

 鶴竜はいよいよ調子が上がってきた。静かな力士だから表情は変わらないが、気力が充実しているのは分かる。

 結びの白鵬は正代戦。横綱の楽勝かとみていたが、そうでもなかった。立ち合いから踏み込み鋭く前に出て、土俵際まで攻め込んだが、正代が思いがけない抵抗を見せた。一変二変の引き技で、白鵬の体勢を崩した。場内に悲鳴が上がったが、左上手を取った白鵬が強引に上から押しつぶした。

 危ないと言えないこともないが、終始攻めていた白鵬は平然としていた。横綱はともに全勝を守り、どうやら1敗の高安との3人で優勝を争うことになりそうだ。

 8日目のテレビのゲストは「史上最強」と言われたレスリング女子の吉田選手。引退したのだから吉田沙保里さん。さすがに要所を心得ている。それに引退して一気にきれいになられた。舞の海君は上機嫌でベラベラ。よくしゃべっていたな。少しだけうらやましい。

 本日は大人げなく怒ってしまい、反省している。先が短いので言い残しのないように、これからも言いたいことは言うつもりでいます。それではまた明日。 (元横綱)

 

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