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【大相撲】

相撲界の「人間山脈」朝乃山が1敗守って単独トップ!

2019年5月23日 紙面から

朝乃山(右)が寄りきりで佐田の海を破る=両国国技館で(大泉謙也撮影)

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◇夏場所<11日目>

 (22日・両国国技館)

 鶴竜(33)=井筒=と栃ノ心(31)=春日野=が2敗に後退し、佐田の海を下して1敗を守った平幕の朝乃山(25)=高砂=が単独トップに立った。鶴竜はまともに引いて妙義龍に金星を与え、栃ノ心は阿炎にはたき込まれて大関復帰も持ち越し。両大関は4敗目を喫し、豪栄道は竜電の上手出し投げ、高安は碧山の圧力に屈した。日本相撲協会広報部の資料によると、1場所15日制が定着した1949年夏場所以降、出場した横綱、大関、関脇(不戦敗を除く)が全員敗れたのは初めて。

    ◇

 際どい土俵際への物言いにも、力強い攻めを見せた「富山の人間山脈」はビクともしなかった。朝乃山が立ち合いで深く右を差し、万全の右四つで圧力をかけて佐田の海を寄り切り、自己最速で10勝に到達。賜杯争いで初の単独トップに躍り出た。

 前に前に攻めて仕留める直前、左足つま先が勢い余って蛇の目の砂を払いかけた。「俵に(つま先が)ついて、パッと戻しました。自分の体を生かし、足を止めなかったのが良かった」。187センチ、177キロの体格からは想像できない瞬発力で、勇み足を回避してみせた。

 富山市出身の25歳。相撲との二刀流で養った反射神経が、土俵際で生きた。少年時代、故郷で盛んなハンドボールにも打ち込み、GKとして県の強化指定選手にも選ばれるほどだった。

 10日目夜はちょうど、欧州サッカーのGKのスーパープレー集の動画を楽しんで気分転換し、予行演習はバッチリ。支度部屋では「素早い動きを、もっと身に付けたい」と上機嫌だった。

 「自分にぴったり。強そうで気に入ってます」という愛称は、支度部屋用の座布団にも刻まれている。1970〜80年代、米国のプロレスを中心に活躍したアンドレ・ザ・ジャイアントの「人間山脈」の富山ローカル版だ。

 天然パーマという世界的レスラーとの重要な共通点をヒントに、命名した部屋付きの若松親方(元幕内朝乃若)は「もっと大きい相撲が取れる。食が細いから、体の面で伸びしろはまだまだある。ここからは本人の自己管理次第」。大器への尽きない期待を口にした。

 富山県出身力士として唯一、優勝したのは明治、大正で活躍した横綱太刀山。朝乃山は、第22代横綱と同じ富山市北西部の呉羽地区出身でずばり「太刀山道場」で相撲と出合った。太刀山最後の優勝から103年。これ以上ない縁の朝乃山が「後は楽しむだけ」と、歴史に名を刻む最高のチャンスを迎えた。 (志村拓)

223センチ、250キロの巨体で活躍したアンドレ・ザ・ジャイアント

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