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【大相撲】

貴景勝は休んだ方が良いと思う。以上。

2019年5月20日 紙面から

◇北の富士評論「はやわざ御免」

 中日8日目は、まさかの大波乱が続いた。抜群の安定感で全勝を守っていた栃ノ心が、伏兵遠藤にうまく取られ手痛い1敗を喫した。立ち合いは、踏み込みもあり、特別悪いというところはなかったように見えたが、テレビで見直すと遠藤の立ち合いの踏み込みは実に低く立っているのがわかった。頭が栃ノ心のあごの下に命中し、ガクンと栃ノ心の顔がのけぞっていた。

 さらに良かったのは、右の前みつが速かった。これが両者の明暗を分けたといっても過言ではないだろう。左を強引に差し込もうとする栃ノ心だが、上体が立っている。

 ここからの遠藤の勝負勘の良さが遺憾なく発揮された。左からひねり、右前みつから出し投げを打つ。つまり合わせ技である。足のそろっていた栃ノ心は、たまらず顔から土俵に落ちてしまった。それにしても、ものすごい切れ味であった。

 あっという間の出来事で、栃ノ心も一瞬、何が起きたのかわからなかったのではあるまいか。やはり遠藤はただのイケ面力士だけではなかった。あの出し投げは、なかなか真似のできるものではない。お見事の一言。

 そして、会心の押し相撲で全勝横綱に勝った玉鷲もお見事であった。鶴竜は立ち合い、良い当たりから先手を取って前に出た。右手で前みつを取りに出ているが、玉鷲にうまく防がれ、押し合いになった。激しい攻防となったが、押し相撲の玉鷲が徐々に攻勢となる。

 特に右からのおっつけと左のど輪が効いて、鶴竜が後退する。それでも鶴竜は引くことなく、懸命に我慢をするが、出足に勢いを増した玉鷲の押しに抗しきれず土俵を割った。鶴竜は最後まで引くことはなく、正攻法で戦ったが、玉鷲のペースに乗ってしまったようだ。

 これで全勝力士がなくなり、優勝への流れが少し変わってきた。前日に高安と豪栄道に優勝のチャンスはないと書いてしまったが、少し言いすぎたようだ。これで少しは希望が出てきたと改めたい。誤りがあった場合は、素直に謝り訂正する。これが私の良いところでもある。

 それにしても、決死の覚悟で再出場した貴景勝だったが、立ち合いの変化にしてやられた。やはり足はついていけなかったのは明白。逆に、変に粘るより、けががなくてよかった。

 それより碧山は、よく変化できたものだ。それなりに勇気がいることでもあろう。日本に武士道があるように、西洋にも騎士道があったはず。昔「花咲ける騎士道」という映画を見た記憶がある。「三銃士」のダルタニアンも格好よかったものだが、碧山は若いのでそんな昔の事なんかわかるはずもないだろうから、言うだけ無駄というものだ。

 ところで、貴景勝は最後まで取るつもりかな。今さら言っても仕様がないが、私は休んだほうが良いと思っている。以上。 (元横綱)

 

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