トップ > 中日スポーツ > 大相撲 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【大相撲】

北の富士さん苦言…白鵬よ「お手を拝借」スタンドプレー多すぎる

2019年3月25日 紙面から

◇北の富士評論「はやわざ御免」

 平成最後の春場所も、無事に千秋楽を迎えた。大阪は荒れる春場所と言われてきたが、今場所は横綱、大関、そして三役陣が番付通りの実力を見せ、10日目が終わった時点でも全勝の白鵬を追って栃ノ心と先場所の覇者・玉鷲を除く全員が優勝の可能性を秘めていた。やはり上位陣が充実していると土俵がグッと締まる。相撲内容も激しい攻防が多く、白熱した土俵が連日見られたのは何より喜ばしいことであった。

 それでは、白鵬が優勝を決めた鶴竜戦を再現しよう。立ち合いは横綱同士の対戦にふさわしく、堂々と小細工なしでがっぷりと右四つに組み合った。互いに引きつけ合い、寄ったり寄られたりと一進一退の攻防を繰り広げた。右四つは互いに十分の型だが、体は少しだけ白鵬の方が大きいし、有利である。

 しかし、その上手を離し、白鵬が巻き替えてもろ差しを狙ったのは意外であった。勝負がついた後、テレビを見ると右四つで引きつけ合った時、白鵬の顔がゆがんでいる。私は、あの引きつけた時に右上腕を痛めたと見ている。

 鶴竜も多分、白鵬が力を抜いたことは知っていただろう。引きつけて鶴竜が勝負の寄りに出る。白鵬は強引に下手投げの連発。体勢は苦しい。あの投げを打った時、もし鶴竜が左の外掛けに出たら、恐らく白鵬は崩れ落ちたと思う。しかし、鶴竜にその余裕がなかった。白鵬の渾身(こんしん)の下手投げが決まって鶴竜は横転した。鶴竜も横綱のプライドを懸けて闘ったが、白鵬の執念の下手投げに涙をのんだ。

 白鵬がこうして42回目の優勝を全勝で飾ったのは、見事のひと言。こうして見ると、体調さえ整えて出てきたら、いつでも優勝できると思われる。今場所も上位陣がいくら充実していると言われても、終わってみれば白鵬の強さだけが際立った場所であった。まだまだ白鵬の時代が続くと思われる。

 すごい男だ、とほめるのはこれまで。場内インタビューの後、「平成最後の場所にお手を拝借」とは何事か。おまえさんはいつからそんなに偉くなったのか。まさか理事長にでもなったつもりか。白鵬の優勝インタビューはいつもハラハラさせられる。

 あまり出過ぎたことはしないことだ。力士としては申し分ないのにスタンドプレーが多すぎる。せっかくの全勝優勝もすっかりしらけてしまった。周りに言う人がいないようだから、協会が何とかしなければいけない。俺の言っていることは間違っているのだろうか。

 大鵬、北の湖、千代の富士、貴乃花らは、みな寡黙で慎み深い人たちであった。白鵬にしても自分では良いことをやっているつもりなのだろう。もしそうだとしたら、少しかわいそうに思えてくる。俺の虫の居所が悪かったのかな。大人げないのかもしれないね。どうやら俺は疲れている。早く家に帰りたいものだ。  (元横綱)

 

この記事を印刷する

PR情報

閉じる
中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日スポーツ購読案内 東京中日スポーツ購読案内 中日スポーツ購読案内 東京中日スポーツ購読案内 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ