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【スポーツ】

<女子マラソン・五輪最終バトル>ワコール・一山麻緒 スケールの大きいランナー

2020年3月3日 紙面から

スラッとした腰高のフォームの一山麻緒

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 東京五輪女子マラソン代表の最終選考会を兼ねる名古屋ウィメンズマラソン(中日新聞社など主催)が8日にナゴヤドーム発着で行われる。今大会では日本人1位かつ、1月の大阪国際女子マラソンで松田瑞生(ダイハツ)が記録した2時間21分47秒を切った選手が3枠目の代表切符を得られる。泣いても笑っても五輪へのラストチャレンジ。キルワ(バーレーン)の持つ2時間21分17秒の大会記録にも迫る高いハードルに挑む、有力選手を紹介する。

◆バネの利いた蹴り

 走りだせば、158センチの体が身長以上に大きく映る。スラッとした腰高のフォーム。男子選手のようにバネの利いた蹴りで前へ、前へ。一山麻緒(22)=ワコール=は「トレーナーさんには『骨格とかがケニアっぽい』って言われるんです」と屈託ない。関係者が世界トップのアフリカ勢と重ね合わせる、スケールの大きいランナーだ。

 2016年春。一山は鹿児島から実業団の名門・ワコールの門をたたいた。永山忠幸監督(60)は一山と出会った頃を、こう振り返る。「『次の五輪はお前でいくからな』と言ったんです。きらっとしたようなものがあったわけじゃない。勘ですよ」

 永山監督は五輪4大会連続出場中の福士加代子らを育て上げた。ベテラン指導者の「勘」は、単なる当てずっぽうとは違う。「福士は練習でポカをしないし、プラスアルファでトレーニングをする。一山も同じタイプ。体の動きを確認するために自分でスプリント練習をしたり、補強を多めにしたり」。一流選手には不可欠の、考え努力する才が一山にはあった。

◆考え努力する才!

 昨年9月のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)。レースを動かしたのは最年少の一山だった。スタートからハイペースで飛ばした。結果的には後半に失速して6位。一山は「いっぱいいっぱい。実はMGC前に足を痛めて走れない時期が3週間くらいあった」。他を圧するスピード。それを42・195キロを持たせるだけの底力が足りなかった。

 レース後に心は折れかけたが、持ち前の向上心が再燃した。名古屋出場を決めると、2月には永山監督に米国・アルバカーキでの高地練習を直訴。「高地での練習はきついけど、帰ってきたときに楽に感じる。ラストチャンス。できることはやりたい」。志願した過酷な高地練習を1カ月近くやり抜き、足りないピースを着実に埋めてきた。

 「これだけの練習ができたらできる。今はそう思える」。初マラソンはちょうど1年前。極寒の東京マラソンを日本人トップの2時間24分台で走った大器が、約束の五輪を現実にする。 (木村尚公)

<一山麻緒(いちやま・まお)> 1997(平成9)年5月29日生まれ、鹿児島県出水市出身の22歳。158センチ、43キロ。出水中央高出。ワコール所属。2017年日本選手権ではトラック種目の5000メートルと1万メートルで4位。初マラソンとなった19年東京マラソンでは2時間24分33秒で7位、MGCは6位。昨年12月の記録会では1万メートルで31分34秒56の自己ベストをマークした

 

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