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【スポーツ】

[陸上]鈴木雄介、50キロ競歩金で東京五輪内定! 故障から復活

2019年9月30日 紙面から

陸上世界選手権の男子50キロ競歩で優勝し、ガッツポーズする鈴木雄介=ドーハで(いずれも榎戸直紀撮影)

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◇世界陸上

 【ドーハ(カタール)川村庸介】陸上の世界選手権第2日は28日、当地で行われ、男子50キロ競歩は鈴木雄介(31)=富士通=が4時間4分20秒で優勝。五輪、世界選手権を通じて日本競歩初の金メダルを獲得するとともに東京五輪代表に内定した。世界選手権の日本人金メダリストは、2011年大会男子ハンマー投げの室伏広治以来5人目。男子走り幅跳びは橋岡優輝(20)=日大=が7メートル97で8位となり、この種目で日本人初の入賞を達成した。男子100メートルのサニブラウン・ハキーム(20)=米フロリダ大、桐生祥秀(23)=日本生命、小池祐貴(24)=住友電工=は3人とも準決勝で敗退した。

 長かった。スタートからフィニッシュまでの50キロ、4時間を超える戦い。そして世界記録樹立から故障、歩けない日々を経ての復活までの道のり。涙をこらえるかのような表情で、鈴木が両腕を突き上げフィニッシュテープを切った。「ゴールするのに必死だったので、ゴールできてよかったという安堵(あんど)感が一番」。苦闘の重みをかみしめた。

 歩き切る、ゴールする。ただただそれだけを胸に、世界一美しいと言われるフォームを繰り出し続けた。10キロからは一人旅。残り16キロという段階で脱水症状の兆候に見舞われ、給水の度に競歩ではなく、散歩のようなペースになった。「脚がもつのか、金メダルを取れるのか、ずっと不安と戦っていた」と明かす。

 2015年3月に20キロで今も残る世界記録を樹立したが、同年の世界選手権は股関節炎のため途中棄権。以後は長い苦しみを強いられた。「自暴自棄になって、しなきゃいけないリハビリもできなかった」。思い出すだけで声が詰まる。立ち直れたのは支えがあったからだった。「治らなかった治療もあったが、すべての人が尽力してくれた。自分以上に自分を信じてくれた人がいたからこそ戻ってこられた」と感謝とともに振り返る。周囲に目をやることで心に余裕が生まれ、その余裕が自身をコントロールする術となった。

 「もう完全復活でいいです」と笑顔を見せる。だが復活だけで終わるつもりはない。「東京の金メダルはあるし50キロの世界記録も目指したい。競歩界の世界的なレジェンドになるのが一番の目標」。まずは来年2月、20キロの東京五輪代表権獲得に挑む。 

  (川村庸介)

沿道から鈴木を見守る父裕文さん(右)と母恵子さん

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<鈴木雄介(すずき・ゆうすけ)> 1988(昭和63)年1月2日生まれ、石川県辰口町(現能美市)出身の31歳。171センチ、58キロ。辰口中で競歩を始め、同県立小松高から順大に進んだ2006年に世界ジュニア選手権(現U−20世界選手権)1万メートル競歩で銅メダルを獲得。09年に20キロ競歩で世界選手権初出場し、11年世界選手権は8位。12年ロンドン五輪20キロ競歩36位。15年全日本能美大会20キロで1時間16分36秒の世界新記録を樹立。今年4月の日本選手権50キロは3時間39分7秒の日本新記録で優勝した。

 

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