トップ > 中日スポーツ > スポーツ > 記事一覧 > 記事

ここから本文

【スポーツ】

小出義雄「遺す言葉」第3回 欲深さが精神力を強くした

2019年7月20日 紙面から

 10本じゃなく12本、100メートルじゃなく120メートル。走らされる選手はたまったもんじゃない。だけど、陸上にかけては僕は欲深いからやらせる。日本人はきっちりしているから、キリのいい数字を好む。だから、多くの先生は「100メートルを10本!」などと子どもたちに指示する。

 だけど、僕は指導者になってから、キリのいい数字をあまり使わなくなった。これも非常識の部類に入るだろうね(笑)。「120メートルを12本!」などと指示を出す。選手たちは「100メートル、10本でいいじゃないか」と思うだろう。

 そこが僕の欲深いところ。20メートル余計に走ったら、2本余分に走ったらと考えてしまうのだ。ライバルたちとの差は、20メートル、2本がモノを言う。僕自身が満足するのもあるが、選手たちの肉体とともに、精神力も強くすることができると思っている。「ライバルたちよりも練習している」という自負が生まれるからだ。

 白状すれば、この120メートルは偶然の産物だった。教員として初めて赴任した千葉の長生高校は、校舎の建て替え中で、グラウンドが使えなかった。仕方ないから近くの公園で練習した。直線コースがあって、測ってみたら120メートルだった。おまけに、途中には坂もある。これは“ひょうたんから駒”だったね。立派な舗装コースもいいが、こっちの方がよっぽど効果的だと気づいたのさ。同じように、10本も12本にしたんだよ。

 ガキ大将の頃、農道をトラックに見立ててコースを作り、仲間と走って遊んだが、思えばその距離が120メートルだったんだよね。120メートル、12本の非常識は、ある意味必然だったのかもね(笑) (聞き手・満薗文博)

 

この記事を印刷する

PR情報

閉じる
中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日スポーツ購読案内 東京中日スポーツ購読案内 中日スポーツ購読案内 東京中日スポーツ購読案内 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ