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【スポーツ】

[ラグビー]W杯参加20チームを歌で迎えようプロジェクト始動 開幕まであと100日

2019年6月12日 紙面から

「スクラムユニゾン」のキックオフパーティーではニュージーランド国歌、アイルランド応援歌を練習した。左端が歌手の田中美里、左から4人目が広瀬さん、右端が歌手の村田匠=横浜市で(大友信彦撮影)

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 9月20日のラグビーW杯日本大会開幕まであと100日。「世界からやってくる参加20チームを歌で迎えよう!」というプロジェクトが始動した。仕掛け人は元日本代表主将の広瀬俊朗さん(37)だ。歌を通じて相手国の歴史と文化を学び、国境を越えた友情を培おうという壮大な試みに込めた思いを追った。 (大友信彦)

 店内にニュージーランド(NZ)国歌が響き渡った。5月某日、横浜の某所。集まった約70人は各国のラグビージャージー姿。歌い終わると「良い歌だね」の声があちこちであがり、笑顔でハイタッチする人も。広瀬さんが呼び掛けたプロジェクト「スクラムユニゾン」のイベントだった。

企画の主旨を説明する広瀬さん

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 前回W杯イングランド大会では出場ゼロながらまとめ役として「陰のキャプテン」と呼ばれた広瀬さん。歌の前後には、ラグビー界きっての知性派の解説が入る。

 「NZの国歌はまず先住民のマオリ語で歌って、2番で同じ歌詞を英語で歌うんです。歌には、その国の歴史や文化が反映されるんですね」

 続いての曲は「アイルランド・コール」。ここでも広瀬さんの解説。「実はこの歌、国歌じゃないんです…」。アイルランド代表は、カトリック圏のアイルランド共和国とプロテスタント系の多い英領北アイルランドの連合チームだ。そのため政治的、宗教的な要素を排した歌「アイルランド・コール」が1995年に作られた。

 「W杯は世界の人たちに日本の文化を知ってもらうチャンスだけど、まずこちらが相手を知り、心を開くことが必要。それに、一緒に歌を歌えたら楽しいし、友だちになるきっかけになる」

 伝統国の選手は、歴史と文化を背負って試合に臨むからプレーにも深みがある。スタジアムで熱唱される歌はその象徴だ。同時に、自分たちが異国で日本の国歌を聴いた感動もひとしおだった。そんな経験からひらめいたのが、W杯で来る各チームをその国の歌で迎えるアイデアだ。

 「自分たちの国の歌で迎えてもらえたらうれしいだろうと思ったし、歌を通じて相手の国の歴史や文化を学べる」

 友人で歌手の村田匠、田中美里の協力を得て、各国の国歌および応援歌をその国のジャージー姿で歌う映像を作成。全20チーム分がこのほど完成した。その映像はユーチューブにアップ。広瀬さんも学校訪問や自治体と連携したイベント出演などに奔走する。

 「日本は歴史的にも宗教的にもニュートラル。他国のいいものを受け入れることに抵抗がないと思うんです」

 ラグビーの国代表には一定条件を満たせば国籍を持たない人も入れる。それは近未来の日本の姿でもあり、世界の姿でもあるだろう。国境を越えた友情をW杯の観客席でも−そう願い、広瀬さんは活動を続ける。

<広瀬俊朗(ひろせ・としあき)> 1981(昭和56)年10月17日生まれ、大阪市出身の37歳。現役時代のポジションはSO、WTB。5歳のときにラグビーを始め、大阪・北野高時代に高校日本代表に選ばれ主将。慶大でも主将を務めた。2004年に東芝に入社。07年から4季主将を務め、08、09年度トップリーグ優勝に貢献。07年に日本代表初選出。12年エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ就任と同時に主将を任され、14年まで務めた。15年度シーズン後に引退。今年3月で東芝を退社し、起業準備中。

 

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