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【スポーツ】

[陸上]小出義雄さん死去 高橋尚子ら育てた長距離界の名伯楽 80歳

2019年4月25日 紙面から

金メダル獲得から一夜明けた記者会見で、金メダルを小出監督の首にかけ喜びを分かち合う高橋尚子=2000年9月25日、シドニー五輪公園で(岡田道弘撮影)

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 陸上長距離界で一時代を築いた名伯楽が旅立った。女子マラソンで高橋尚子、有森裕子、鈴木博美ら数々の五輪、世界選手権メダリストを育てた小出義雄さんが24日午前8時5分、肺炎のため千葉県内の病院で死去した。80歳。通夜は28日午後5時から、告別式は29日午前9時から11時30分までで、場所はいずれも千葉県佐倉市大蛇町790−4のさくら斎場。喪主は妻・啓子(けいこ)さんが務める。近年、小出さんは体調を崩し、今年3月末で指導の第一線から退いていた。

 懸命に病魔と闘い、つい最近まで時にグラウンドに立ち、選手を厳しくも温かく見守った小出さん。「駆けっこ」を愛し、陸上競技の神様に愛された希代の名伯楽が、この日の朝、駆けつけた家族に見守られながら駆けっこ一筋の人生を静かに終えた。

 まさに陸上競技、マラソンそのものの人生を歩んだ。千葉県立山武農(現大網高)を卒業後、一度は家業を継いだが、走ることへの思いを断ち切れずに順大へ進学し、箱根駅伝に3度出場。佐倉高や市船橋高などで教員を務めた後、1988年に実業団のリクルート監督に転身。マラソンで92年バルセロナ五輪銀、96年アトランタ五輪銅メダルを獲得した有森裕子さんを育てた。

 97年には同じく実業団の積水化学へ移籍し、同年の世界選手権では鈴木博美さんが金メダルを獲得した。その次は高橋尚子さん。翌98年に名古屋国際女子マラソン(現名古屋ウィメンズマラソン)を日本新記録で優勝すると、猛暑のバンコクで行われた同年のアジア大会では金メダル。そして2000年のシドニー五輪金メダル、さらに翌年のベルリンマラソンでは世界で初めて2時間20分の壁を破る2時間19分46秒の世界新記録(当時)と、選手と共に数々の偉業を成し遂げた。

 褒めて伸ばす指導法と明るく豪快なキャラクターが注目を浴びる一方、常々「非常識が新しい時代をつくる」と口にしていた。象徴的だったのが、高橋さんに課した米コロラド州での超高地トレーニング。標高3650メートルという前例のない場所でのトレーニングが成功の礎となった。

 近年は体調を崩し、入退院を繰り返していた。3月末には生命のふちをさまよう事態にもなったが、懸命の治療と医師も驚く生命力で最後の最後まで闘い抜いた。普段から「教え子に2020年東京五輪でメダルを取らせたい」と口にしていた。3月末まで指導を受けていた佐倉アスリート倶楽部の選手は、訃報に接したこの日も通常通りに練習。名将の遺志を受け継いだランナーを、これからは天国から見守り続ける。

 

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