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【スポーツ】

[ラグビー]W杯日本大会開幕まで半年 ジョセフHCは最高の準備で8強入り目指す

2019年3月20日 紙面から

ラグビーの日本代表候補合宿で、練習を見守るジョセフ・ヘッドコーチ(左から2人目)=沖縄県読谷村で

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 9月20日に開幕するラグビーW杯日本大会まで、あと半年。2016年9月に日本代表ヘッドコーチ(HC)に就任したニュージーランド(NZ)出身のジェイミー・ジョセフHC(49)がこの2年半にわたる代表強化と本番への意気込みを語った。今後はスーパーラグビー(SR)のサンウルブズと、3月下旬〜5月にNZ・オーストラリアへ遠征する特別編成チーム「ウルフパック」で、代表候補選手に実戦経験を積ませる考えだ。 (取材・構成=末松茂永)

 −自身が描く理想のチームに向けて今のチーム状況は

 ジョセフHC「チームづくりは想定通りに進んでいる。監督就任からティア1(強豪10チーム)の国と試合を重ね、W杯までに全ての国と対戦する。(ティア2の)日本代表の歴史上、前例のないことだ。昨年のオールブラックス(NZ代表)戦とイングランド戦は、恥ずかしくないプレーを披露できた。

 一方で、勝利を手にすることに苦戦している。トップリーグの選手が代表に合流してから、試合までの準備期間は1週間。短期間に急ピッチで準備しなければならない環境に、選手もコーチも苦悩していた。しかし、今年はトップリーグがないので、W杯で勝つことに専念できる。最高の準備をして、ベスト8入りを目指す」

 −本番まであと半年。どんな準備をしているのか

 「今は、体の治癒に集中させている。2月に合宿が始まった時点で、17人が体の不調を訴えていたが、3月上旬には4人に減った。この数カ月で状態を上げ、サンウルブズとウルフパック(サンウルブズの選手と代表候補選手で編成)で試合経験を積ませる。6月に入ったら、W杯に向けた準備が本格化する。大会直前(9月6日・熊谷)には前回大会で倒した南アフリカ戦が控えている。

 ただ、試合にけがはつきものだ。昨秋はキーマンの堀江(パナソニック)、レメキ(ホンダ)、マフィ(NTTコム)、松島(サントリー)を欠いたが、イングランドに善戦した。この4人がいれば結果は違ったかもしれないが、別の選手が経験を積むことでチームの強化につながった。現状には満足している」

 −昨季終了後、選手に長期オフを与えた。当初から考えていたのか

 「もちろんだ。体力とモチベーションが上がらないと、いいパフォーマンスはできない。そのためには、自分の役割を冷静に考える、しっかりとした休みが必要だ。選手はこれまで、トップリーグにSR、テストマッチと休みなしでプレーしてきた。世界を見てもそんな例はない。オールブラックスも同じぐらい試合をこなすが、最低でも2カ月のオフは与えられる。田中(パナソニック)は約4年間休んでいない。SRのハイランダーズでもプレーしており、負担が他の人の倍と言えるだろう」

 −青年時代に影響を受けた人は

 「若いときに最も影響を受けたのは父親だ。ラグビーの選手で、コーチもしていた。自分が高いレベルでプレーするようになってからは、ジョン・ハート、ローリー・メインズ、ゴードン・ハンター、トニー・ギルバートの4人のオールブラックスコーチだ。ハートを除く3人は自分と同じでダニーデンにゆかりがある。共通点が多く、価値観も同じだ」

 −どんな家庭で育った

 「スポーツ好きの家族で、母はソフトボールにホッケー、父はラグビーとソフトボールをしていた。おじはオールブラックスとマオリオールブラックスで、いとこもオールブラックスでプレーした。競争心の強い、負けず嫌いの家庭で育てられた。NZではごく一般の家庭さ」

 −選手にレジリエンス(不屈の精神)を求めている

 「精神力は、チームの成長に最も欠かせない。どの試合も同じ精神状態で臨まないといけないが、昨年のイタリア戦、ジョージア戦は精神面の弱さを露呈した。しかし、オールブラックス戦とイングランド戦では修正し、いい状態で臨めた。今、その精神力の鍛錬に着手し、うまく進んでいる」

 −ハイランダーズのコーチ時代、大事な試合前に各選手に鍵を手渡した話を聞きたい(ジョセフHCが用意した鍵を受け取った選手は一度持ち帰り、試合前に提出。HCは「一つになれば勝てる」と、その鍵をテープでぐるぐる巻きにして1つに束ねたという)

 「負けを恐れず、思う存分に自己表現をすればいい−という気持ちを持たせて、世界に挑ませるつもりだった。もしかしたら、今のわれわれにも鍵が必要かもしれない。

 これから大きな試練として立ちはだかるのは、重圧だ。われわれの評価は、勝敗で決まってしまう。最も恐れているのは、選手が重圧に押しつぶされてしまうことだ。

 勝ちだけが、絶対的な価値観ではない−そう考えられるようにしたい。それが必ずしもいいパフォーマンスにつながる保証はないが、工夫を凝らしながらやっている。練習中も常に真剣さを求めるのではなく、楽しめるメニューを取り入れ、バランスよくやっている」

<ティア> 国際統括団体ワールドラグビー(WR)による各チームの“格付け”。ティア1(10チーム)は、欧州のウェールズ、アイルランド、イングランド、スコットランド、フランス、イタリア、南半球のNZ、南アフリカ、オーストラリア、アルゼンチン。日本はティア2(13チーム)で、W杯日本大会出場チームではフィジー、ジョージア、トンガ、米国、ウルグアイ、サモア、ロシア、カナダ、ナミビア。ティア3は残り82チーム。

<ジェイミー・ジョセフ> 1969年11月21日生まれ、NZ南島・ブレナム出身の49歳。現役時代のポジションは主にフランカー、ナンバー8。オタゴ大(NZ・ダニーデン)卒業後にNZ代表(オールブラックス)入り。95年W杯の準優勝メンバーで20キャップを獲得。同年に日本のサニックス(現・宗像サニックスブルース)に加入。日本代表としても99年W杯に出場するなど、9キャップ(現行ルールでは2国の代表にはなれない)。2011年からオタゴに拠点を置くスーパーラグビーのハイランダーズを率い、15年に優勝。

 

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