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【スポーツ】

[柔道]松本薫がアイスクリーム店員に転身 引退会見、脱・野獣

2019年2月8日 紙面から

記者会見後、報道陣の求めに応じポーズを取る柔道女子の松本薫

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 柔道のロンドン五輪女子57キロ級金メダリスト・松本薫(31)が7日、東京都内で引退会見した。現役を退く理由を、「子育てとの両立で野獣スタイルの維持が難しくなった」と説明。引退後は所属するベネシードが出店するアイスクリーム店にスタッフとして関わる。「子どもたちを笑顔にしたい」と脱・野獣で幸せを届けていく。

 個性派の松本らしい、笑顔満開の引き際だった。松本は会見冒頭で「本日は寒くない中ご足労頂き…」とあいさつして会場の爆笑を誘うと、終始朗らかに笑みをたたえてマイクに向かった。1時間近くに及んだ会見で、涙や後悔の思いは一切見せなかった。

 娘の出産を経て目指した3度目の五輪への道は、険しかった。「一番が柔道より子どもになった。野獣になるには練習量で自信をつけなければならないが、それが難しかった」。子育てで練習時間も十分に確保できず、体力や技術の再生に苦心した。

 昨年11月の講道館杯では初戦敗退。「試合中にふと『もう勝ちたくないな』と思ってしまった。そんなことは初めて。勝負師としては終わっている」。松本を「野獣」たらしめた、人並み外れた闘争心も薄れたと実感。東京五輪も絶望的となり、大会直後に迷わず引退を決めたと言う。

 今後の夢を尋ねられると「アイスクリームづくり」と即答した。もともとアイス好きで、ロンドン五輪後はパフェを一日に4食も平らげたことも。「あのときは体に異変が起きた。もっと体にいいアイスがあったらなと思っていた」

 引退を決断後、ベネシードが新規事業として始める健康志向のアイスクリーム店のスタッフに手を挙げた。現在は東京・高田馬場駅近くの東京富士大構内での1号店オープン(12日)に携わる。パソコン操作法などを一から学び、店頭業務や商品開発をする。

 柔道に関しては、少し距離を置くつもり。「柔道を通して成長できた。好き嫌いではない。求められれば、お告げ、いやアドバイスはしたい」。当面はアイスづくりに没頭する考えだ。

 女性ながら、畳の上では野獣と呼ばれ続けた。「自分でも野獣だと思う。野獣以外なかった。これからは笑顔をつくりたい」。鬼の形相で自らを奮い立たせることは、もうない。母として、アイス店員として、新たな道を歩んでいく。 (木村尚公)

 

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