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【首都スポ】

[体操]橋本大輝、脚線美で東京五輪「金」を 内村航平の後継者の呼び声高い18歳

2020年1月21日 紙面から

次世代を担う選手として期待を背負う市船橋高の橋本大輝=千葉県船橋市の市船橋高で(伊藤遼撮影)

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 昨秋の世界体操選手権男子日本代表で、史上2人目の高校生代表として初出場を果たし、一躍注目された日本体操界のシンデレラボーイ、橋本大輝(18)=市船橋高=。2大会連続の団体銅メダルに貢献し、得意のあん馬と鉄棒では種目別決勝にも出場。そのキレとスピードのある美しい演技で、世界の体操関係者をうならせた。このほど本紙の単独インタビューに応じた橋本は、今夏の東京五輪代表の座をつかみ、個人総合と団体総合で金メダルを狙うと宣言した。 (フリージャーナリスト・辛仁夏)

 初めての世界選手権で、橋本は持ち味を発揮し、輝いた。特にあん馬では、膝からつま先まで伸びた線のきれいな脚を駆使して質の高い開脚旋回を披露するなど、ダイナミックな演技で見る者を魅了。団体予選では出来栄え点を評価するEスコアで8・883点の高得点をマークするなど、出場4種目でチームトップの得点をたたき出す活躍だった。

世界選手権あん馬でつま先までまっすぐに足が伸びたきれいな演技を披露する橋本

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 勢いに乗って臨んだ団体決勝。最終種目だった床運動で尻もちをつき、号泣した。チーム年少者としてムードメーカー役も担ったほろ苦デビュー戦。「悔しい気持ちを持って帰ってこられたし、世界との差を感じたことが一番、大会で得たこと」と、次戦に生かせると前を向く。

 今でこそ、きれいな体操で多くの人々の目を奪うようになった18歳も、高校入学時は全然違っていた。市船橋高体操部の神田真司総監督(60)は「体操は汚かったし、野性児だった」と笑う。

 「最初は痛くてできなかったけど、器具に寄り掛かって全体重を曲げたつま先にかけて歩いたり、毎日練習前に壁倒立をやったり。高1の夏ごろには線の出し方がすごく違ってみえて、別人みたいな感じになって、初めてきれいな体操だなと自分で思った」。中学までやってこなかったという基礎をたたき込まれた橋本は入学当時を振り返り、苦笑した。

 いわば原石だった無名選手が磨き上げられ、宝石のような輝きを放ち始めたのが高2の春だ。1枠を争った、18年5月のユース五輪選考会。3位で同五輪出場権を逃したものの、体の線がきれいで強さとキレのある演技が光っていた。

 「ユース五輪に絶対に行きたかったのに、1歳下の北園選手(大阪・清風高)ともう一人にも負けて、めちゃめちゃ悔しくて初めて悔し泣きした。その後、楽しく練習できていないことを(市船橋高監督の)大竹先生から指摘され、『謙虚になれ』と言われて自分が変わった」。この敗戦が急成長へと導くターニングポイントになった。

男子団体決勝の床で尻もちをつく=ドイツ・シュツットガルトで(潟沼義樹撮影)

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 悔しさをバネに必死に練習した苦しい時期を乗り越えたことで、これまで勝てなかった強い選手にも勝てるようになり、試合で結果を出すことで自信がついてどんどん力をつけたという。そして、昨秋に世界選手権代表という大きなチャンスをつかみ、続いて11月には個人総合でもスーパーファイナル初優勝。一気に花開き、五輪への道筋が見えてきた。「高2(18年)の11月に先生方から『本気でオリンピックを目指そう』と言われて明確な目標ができたことでさらに自分が伸びた一年でもあったし、個人総合で戦える自信もついた」。周囲の期待が次世代ホープのやる気に火を付けたことは間違いない。

 今後は、6種目の中で一番核となるあん馬をミスをしない種目に磨き上げることが強くなるためには必要不可欠だという。「あん馬で(得点を)取れる選手は個人総合の戦いで有利になるし、みんなが跳んでいるDスコアの中で、跳馬は同じかそれ以上を狙っていかないと点数は伸びない。だから、2つの『馬』が鍵になってくる。神田先生と大竹先生から『馬を制する者は個人総合を制する』と、高2の後半からよく言われてきた」

 五輪と世界選手権の個人総合で連覇街道を走ってきた内村航平は、苦手だったあん馬を磨き、跳馬も高難度の技をマスターした。同じ道を歩んでいきたい。「自分には内村さんのような安定感と強さが必要。東京五輪の代表になって個人総合と団体で金メダルを取れるように、そのくらいの覚悟で自分がチームを引っ張ってやっていきたい。自分が頑張ってやっていけば、メダルが取れるというワクワク感がある」。内村の後継者として名乗りを上げる逸材は、自身の可能性に胸を躍らせている。

◆大輝★アラカルト

 ★体操人生で一番の転機「市船に入学したこと。学校生活も競技生活もすごい濃い3年間を送った。市船に入ったから、今の僕がいる」

 ☆練習の虫の原動力「技ができたら面白い。だから、他の人よりも1本でも多く練習する。ジュニア時代から技を習得するときは、最初の1本を成功させても成功じゃなく、3本続けてできたときが成功だと考えて実践している」

 ★体操一筋「毎回聞かれるが、趣味はない。趣味に当てる時間がないから。家にいるときは面白系などのユーチューブを見ている」

 ☆座右の銘「努力に勝る天才なし」人気グループ、ベリーグッドマンの「ライトスタンド」の歌詞にある言葉。「自分にちょっと似ている。僕の代には天才だと思う、すごく強い3人がいて、中学の時は勝てなかった。でも、高1のときに初めてそのうちの一人に勝って、努力を重ねていけば天才にも勝てると思った」

<橋本大輝(はしもと・だいき)> 2001(平成13)年8月7日生まれ、千葉県成田市出身の18歳。165センチ、54キロ。千葉・市船橋高3年。佐原ジュニア体操クラブ出身で兄の影響を受け、6歳で競技を始めた。19年は個人総合で高校選抜大会2位、全国高校総体2年連続2位、全日本選手権7位、NHK杯6位、スーパーファイナル初優勝。団体総合では全日本ジュニア、高校総体、国体の高校3冠、世界選手権銅。両親と兄2人、祖母の6人家族。

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