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【首都スポ】

[競泳]男子期待の星・松元克央を直撃! カツオは東京で世界の頂点を狙う

2020年1月7日 紙面から

五輪を目指す競泳の松元克央=千葉県習志野市のセントラルフィットネスクラブ谷津店で(斉藤直己撮影)

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 カツオのように力強く泳ぎ、東京五輪で金メダルを目指す。昨夏の世界選手権(韓国・光州)男子200メートル自由形で、この種目では五輪、世界選手権を通じて日本人初のメダルとなる銀メダルを獲得した“競泳界のカツオ”こと、松元克央(かつひろ、22)=セントラルスポーツ=が本紙の取材に応じ、五輪、メダルへの思いや道のりを明かした。 (川村庸介)

 日本の競泳陣が初めて世界に挑んだ1920年アントワープ五輪からほぼ100年にわたって誰もなしえなかった偉業も、松元にとっては既に過去のことだ。

 「実感はあるけど、いつまでも浮かれていられない。今は銀メダルは忘れて金メダルを目指す1選手として、自分のことを普通だと思って頑張っていきたい」

 本人はいたって謙虚だが、光州で見せた泳ぎは、偉業、快挙と呼ぶにふさわしいレースだった。前半の100メートルを2位でターンする積極的な入り。残り50メートルでは5番手ながら持ち味の猛烈なラストスパートで3番手フィニッシュ。そして、1着だったラプシス(リトアニア)がフライング判定で失格し銀メダルに輝いた。もちろん、東京五輪でも期するのは“追いカツオ”の再現だ。

 「ラスト50には自信があるし、どんどん抜けるのはうれしい。150でターンしたい位置も考えるし、そこから体半分の差だったら思い切り上げて抜かすとか、そういうイメージもする」

 そのための道のりが簡単ではないことも十分自覚している。2017年から師事する鈴木陽二コーチ(69)が作る練習メニューは、ハードで知られる。「高地だと呼吸もできないような、殺されるんじゃないかと思うぐらい、きついという言葉も浮かばないぐらいのメニュー」と振り返るぐらいの練習を課されるが、「それができれば金メダルだと思って頑張っている」と文字通り必死に取り組む。

 過去に、88年ソウル五輪男子100メートル背泳ぎ金メダリストの鈴木大地スポーツ庁長官も育てた名伯楽からは「練習はウソをつかない」、そして「大舞台では100%の力は出せない。80%の力で金メダルを取れるぐらいの実力をつけろ」と、言葉をかけられた。松元は「その通りだ」と素直に受け止めている。

ハードトレで鍛えられた松元の泳ぎ

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 もっとも、昔から猛練習に励むタイプではなかったという。「中学3年のころは受験でみんな部活をやめていたのに、クラブの僕だけは何で練習に行かなきゃいけないのかと思ったし、そんなに速くもないので、『やめたい、遊びたい』と思ったしすごくサボっていた」と明かす。

 だが、2つの転機が松元を変えた。高校生になると、身近に日本代表レベルのチームメートがおり「せっかくきついことをするなら、とことんきついことをして、日本代表になっていい景色を見たいと思った」。そうして17年にたどり着いた日本代表で、さらに考えを改めさせられた。「初めて代表に入ってみんなを見て、自分から速くなるためにどう頑張るべきなのかを学んだ。瀬戸大也君とかは意識が違うし、明確な目標、覚悟を決めているんだと思った」。初めての世界選手権こそ予選27位に終わったが、肌で知った日の丸、世界が186センチの大器をさらに飛躍させた。

 迎えた五輪イヤー。世界選手権銀メダリストと言えど、地元東京五輪代表の座は全く約束されていない。4月の日本選手権で日本水連の定める派遣標準記録(男子200メートル自由形は1分45秒76)を決勝で突破し、なおかつ2位以内に入らなければならない一発選考。「僕はオリンピックに行ったことがないので、プレッシャーではあるが、そのプレッシャーに負けているようじゃ今後戦えないので深くは考えていない」と厳しい代表争いを正面から受け止める。

 一方で「4月に金メダルの現実味があるタイムを出さないと、僕もびびりなので、取れないと思っちゃう。しっかり現実味のあるタイムを出してオリンピックに再スタートしたい。1分44秒台は必要だと思っている」。五輪本番の金メダルへ、自身の日本記録1分45秒22の更新を思い描く。

 「(鈴木コーチは)金メダルを取れるメニューを出してくれているので、僕が耐えるだけ。せっかくのいい年齢、いい状態で東京オリンピックを迎えられるのは、すごく運がいいと思っている。それを生かして金メダルを取りたい。鈴木先生に金メダルをかけるところまでが目標」。世界、そして五輪という大海原をたくましく泳ぎ、“金カツオ”となる。

インタビューに答える松元

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◆アラカルト

 ●カツオというニックネーム 「克央」の由来は「両親からは珍しい名前をつけたかったと聞いたことはある。親もカツオと呼ばれるとは思っていなかった」。初めて「カツオ」と呼ばれたのは小4か小5の時だったと言い、「金町スイミングクラブのコーチに不意に呼ばれた。最初は僕のこととは思わなかった。その時の感覚はあまり覚えていないが、今となっては感謝の気持ち」と振り返る。「カツオ」と呼ばれることに、水泳との親和性が高いこともあり「うれしいこと」。

 ●福島県出身 東京都葛飾区で育つが、プロフィルには出生地の福島県を出身地として記す。「生まれたのは福島だし、福島の人たちに勇気やパワーを与えたい。震災もあったし、そこは確かに大きいかなと思う。中2で震災があって、高2ぐらいでナショナルチームの標準記録を切って、プロフィルを書くようになってから、福島と書いている」

 ●好き嫌い 好物は「肉。肉を食べると力がみなぎるというか、疲れが取れる。疲れた時は肉を食べる」。逆に苦手なのは「野菜やフルーツはあまり。食べるけど、食べなきゃいけないものじゃなきゃ食べない。ブロッコリーやトマト、ピーマン。果物もジュースでしか飲めない」。

 ●趣味&マイブーム 「映画とかは好き。暇さえあれば海外ドラマを見る。ちょっと見始めると止まらない。一番好きなのはプリズン・ブレイク(米サスペンスドラマ)で何回も見ている」

<松元克央(まつもと・かつひろ)> 1997(平成9)年2月28日生まれ、福島県いわき市出身の22歳。186センチ、85キロ。セントラルスポーツ。幼少期に基礎体力をつけるために水泳を始め、東京都葛飾区立水元小5年時にジュニアオリンピック10歳以下男子50メートル自由形で優勝。千葉商大付高を経て明大に入学し、2017年に世界選手権代表に初選出。18年は日本選手権男子200メートル自由形初優勝、パンパシフィック選手権銅、アジア大会銀。19年世界選手権では1分45秒22の日本新記録で、この種目では五輪、世界選手権を通じて日本人初のメダルを獲得した。

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