トップ > 中日スポーツ > スポーツ > 首都スポ > 記事

ここから本文

【首都スポ】

[アイスホッケー]高級タオル店で働く日本代表・蓑島圭悟 夢はNHLじゃなくKHL!

2019年8月2日 紙面から

オフシーズンに勤務しているタオル店で、スティックを手にポーズをとる蓑島圭悟

写真

 南青山のど真ん中にある高級タオル店で、アイスホッケーの現役日本代表が働いていた。DF蓑島圭悟(22)=ひがし北海道クレインズ。中大を卒業し今年4月から名門の日本製紙に所属する予定だったが、昨年暮れにいきなり廃部になるという憂き目に遭った。しかし、蓑島はへこたれず廃部を契機にいろんな世界を体験。名門チームの廃部が続く逆風の国内アイスホッケー界で、海外リーグ挑戦を目標に自ら未来を切り開いている。 (藤本敏和)

◆苦難…中大卒業後に所属予定だった日本製紙が廃部に…

写真

 柔らかい笑みと物腰、丁寧な接客、熱心な商品説明−。タオルメーカーが出店する南青山の「IKEUCHI ORGANIC TOKYO STORE」の店頭に立つ蓑島の姿から「氷上の格闘技」アイスホッケーを連想するのは難しい。長身のインターンは、バックヤードで自らミシンを操って名入れの刺しゅうも行う。

 「いろいろな世界を経験して視野を広げたいと思って働かせてもらっています。ホッケー選手だとオフは何もしなかったりするので。タオルの品質は海外で使い比べた時とかに実感しているので、お客さんにもすすめやすいです」

 経歴はスポーツエリートだ。白樺学園高3年で日本代表に選出され世界選手権に出場。中大入学後もコンスタントに代表に召集され続けた。「IKEUCHI ORGANIC」のサポートを受け始めたのは大学3年だった一昨年の夏。東京で子どもたちのアイスホッケー留学などを支援する「TK HOCKEY」の黒川太郎さんの紹介だった。

 昨夏は、現役大学生でありながらフィンランドリーグにも挑戦。3部チームに所属し秋まで主力としてプレーした。

 だが、逆風の日本アイスホッケー界は、そんなエリートにも苦難を強いた。所属予定だった日本製紙が、大学卒業直前に廃部になったのだ。

◆不安のなか「いろんな世界を経験」クレインズとプロ契約

アイスホッケーの大会などで公式グッズとして販売された「IKEUCHI ORGANIC」のタオルを手にする蓑島

写真

 「公式発表されたのは去年の12月18日でしたが、僕が知らされたのはその前日でした。うわさにも聞いていなかったので本当に驚いて…」

 早くから日本代表入りしていたため、日本製紙から誘いを受けたのも大学入学から1年もたっていなかった。長い縁があるだけにショックは大きかった。

 「不安でした。後継のクラブチーム(現ひがし北海道クレインズ)ができそうだという話も聞いたんですが、チームのスタートを待って最後の最後でダメとなったらどうなるんだろうとか、いろんなことを考えました」

 もちろん、他のチームも現役日本代表を放っておかなかった。国内唯一の実業団チームとなった王子製紙(苫小牧)などから声がかかった。

 だが、蓑島はそれらのチームを選ばなかった。「大学1年で日本製紙から声をかけていただいたときは社員選手のほうが安定していていいなと思っていたのですが、年を重ねるごとにプロでやりたいという気持ちが強くなっていて。日本製紙にも廃部前に『プロ契約にしてほしい』と申し出て了解を得ていたんです。だから、社員選手としてという話はお断りさせていただいたんです」

 当時、クレインズが発足する保証は何もなかった。他チーム入りを断った以上、所属先がなくなる可能性すらあった。

◆海外挑戦「身長が僕より低いDFが活躍。20代で行きたい」

棚にタオルを並べる蓑島=東京・南青山で(いずれも久野功撮影)

写真

 「アイスホッケー選手じゃない人生もあるんだと思いました。もっといろんな可能性があるんだと思い、積極的にいろんな人に会って、視野が広がり勉強になりました」

 IKEUCHI ORGANICでインターンすると決めたのもその時期だ。結局、チーム成立が最終決定したのは中大卒業後の4月。契約したのは5月だった。

 また、これが縁となってIKEUCHI ORGANICがクレインズのサポートも行うことも決定。「蓑島君のおかげで存続を目指して署名活動しているところからチームに触れて、少しでも力になれればということになりました」と、同社海外営業の山鬼さん。

 所属チームが決まった今、蓑島はその先も見据えている。海外移籍だ。それも、NHLで知られる北米ではない。ロシアを中心に国際展開するKHLが目標だ。

 「フィンランドでKHLの試合を見たんですが、身長が僕より低いぐらいのDFがスピードで活躍していて。断然NHLよりいいです。今KHLは一国一チームみたいな感じで世界展開しているので、いつか日本にもチームができてほしい。自分自身は20代でKHLに行きたいです」

 将来を見据えた言葉は力強い。南青山のタオル店でプロ1年目を迎えた蓑島は、ここから世界へ滑りだしていく。

中大時代の蓑島(本人提供)

写真

<蓑島圭悟(みのしま・けいご)> 1996(平成8)年8月24日生まれ、北海道帯広市出身、22歳。身長181センチ、体重84キロ。北海道・白樺学園高から中大卒。5歳からアイスホッケーをはじめたが、帯広市立大空中2年まではサッカーと両立させており、ホッケーに専念したのは同3年から。日本代表は高校3年でデビューし、以降は2016年平昌五輪最終予選でもプレーするなど安定して選出されている。家族は祖母、父、母、姉、兄。

    ◇

 首都圏のアスリートを全力で応援する「首都スポ」。トーチュウ紙面で連日展開中。

 

この記事を印刷する

PR情報

閉じる
中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日スポーツ購読案内 東京中日スポーツ購読案内 中日スポーツ購読案内 東京中日スポーツ購読案内 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ