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【首都スポ】

[体操]ニッポン期待の新星 日体大2年・杉本海誉斗、平行棒極める!

2019年7月31日 紙面から

得意の平行棒に自信を見せる日体大の杉本海誉斗

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 2020年東京五輪で、団体金メダルを目指す男子体操ニッポンに、今年また一人、有望な選手が仲間入りした。高校体操界の強豪、千葉・市船橋高から既定路線と言われる順大ではなく、日体大の門をたたいた異色の19歳、杉本海誉斗(かいと、2年)だ。やっとつかんだ飛躍のきっかけを自信につなげ、自国開催の五輪代表の座をつかめるか。正念場の1年になる。 (フリージャーナリスト・辛仁夏)

 異例の決断を下した鍵は「ひねり王子」の存在だった。市船出身者の多くが同じく千葉県にある体操の名門・順大へと進む中、杉本は日体大を選んだ。「市船−順大ルート」に乗らなかったのは、やはり日体大へ進学した斉藤優佑(14年仁川アジア大会団体金)以来、実に11年ぶりだ。

 「憧れる白井健三選手(日体大大学院)と1年でもいいので、一緒に練習して試合に出たかった。練習や応援の雰囲気も、自分に合っていると思いました」

 “同じ釜の飯を食べる”ために、3学年上の偉大な先輩の背中を追い、近づきたいと飛び込んだ。こんなエピソードも明かす。

 「健三さんが、内村航平さんから『苦手な種目は人の3倍やったほうがいい』と言われてやっている練習を少しでも取り入れたり、毎日6種目を通せる健三さんを見習って通しの練習を軸にしたりしています」

練習中に白井健三(左)と話す杉本

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 今年、中学生の時からずっと目標にしていたナショナルメンバー(代表強化選手)入りをついに果たした。1年生だった昨年、日体大で団体戦のレギュラーメンバーに名を連ね、白井主将(当時)とともに全日本学生選手権で4年ぶりの優勝に貢献。そして、今年は期待の若手として挑んだ全日本選手権とNHK杯で、世界選手権(10月、ドイツ・シュツットガルト)の日本代表切符を争った。今回の代表選手には選ばれなかったが、国内トップ選手の証しといえる、歴代強化選手に与えられてきた「番号」を手にしたのだ。

 「ぎりぎりでしたけど、ナショナル選手としての番号(214番)をもらえ、率直にうれしいですね。今年こそは絶対に入ってやると狙っていたし、入りたいという欲が強かったです。ナショナル選手としての自覚を持って、自分らしい演技をしたい。6種目全部の着地で動かない強い選手になりたいですね」

 体操を始めたのは、ひょんなきっかけからだった。

 「肺が弱くて、水泳をやっていました。最初に通っていたスポーツクラブの2階で体操をやっていて、水泳が嫌すぎて、その体操教室に顔を出すようになって、それなら少し体験してみようと始めました。『水泳よりは面白いかな』くらいで、オリンピックへの憧れは全然なかったです」

 それが、小2の冬に本格的に体操をやりたくなり、健伸スポーツクラブ(船橋市)で、体操の基本を徹底的に教え込まれた。特に「倉島(貴司)先生から『どんな時でも止める』と教わってきた着地は強みかな」と胸を張る。世界選手権代表の谷川航、翔兄弟も同クラブ出身で着地が武器だ。

 得意な種目は平行棒で、得意技はバブサー(懸垂前振り上がり開脚抜き伸身かつ水平位懸垂)。「体は小さいですけど、やっぱ、一番雄大に見せられる技ですかね」と、この種目ではメダル争いができる15点台を出せる実力を持つ。

 五輪代表権獲得の最低条件は、平行棒の腕をさらに磨いて15点台後半の演技構成にし、跳馬で習得中のロペス(側転跳び3/4ひねり後方伸身宙返り2回ひねり)が跳べるようになること。そうなれば、トップ選手たちと勝負できるという。その上で、苦手種目のあん馬とつり輪で底上げができれば、五輪への道がくっきりと見えてくる。そして、どんなふうに体操を極めるのか−。

 「自分の強みは勢いと崩れないメンタルです。誰が見ても、きれいな体操だと思うような、理想は芸術的で切れのある体操です」。それが実現できれば、男子体操ニッポンの屋台骨を担える選手になれるはずだ。

あん馬を披露する杉本=横浜市青葉区の日体大健志台キャンパスで(平野皓士朗撮影)

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◆杉本アラカルト

 ★名前の由来 「父が海が好きだったので、子供に海という漢字を付けたい」と命名したそう。自分の名前について「『誉』というとてもいい漢字が入っていて、誇らしい名前だと感じています」

 ☆元気の源 体重調整を気にしないスイーツ男子。「いっぱい食べることです! 特に甘いものでイチゴ系です!」

 ★オフの過ごし方 パフェやかき氷など流行のスイーツを求めて食べ歩きツアーに出掛けるとか。「結構、食をモチベーションにしているので、1つのスイーツを求めて遠出もできちゃいます。(白井)健三さんも甘いものが好きなので、一緒にミスタードーナツの食べ放題に行きました!(笑) 10個くらい食べて満足だったし、おいしかったです」

 ☆好きな音楽 ベリーグットマンの「ライトスタンド」。「悔しい思いをしたときに諦めないで、という曲です。インターハイメンバーだったのに試合会場入りしてから外されるなど、悔しさを味わった高2のときに見つけた曲で、試合の前に結構聞きますね」

杉本について話す日体大の畠田好章監督

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 ▽日体大・畠田好章監督「今年は、本人も絶対に入ると言っていたので、何とかナショナル選手に入れたかった。能力も伸びしろもあるが、もっと質を伸ばせるはず。タイプは違うが白井健三のように練習で積み重ねて、日本で一番になるくらいの種目や武器をつくって、トップ選手になって日本代表になることを期待している」

<杉本海誉斗(すぎもと・かいと)> 2000(平成12)年3月17日生まれの19歳。千葉県松戸市出身。155センチ、52キロ。日体大2年。日本代表選手を輩出する健伸スポーツクラブ出身。17年高校選抜大会個人総合3位。同年の全国高校総体(インターハイ)個人総合8位(予選1位)、平行棒では15点台をマークし優勝。18年全日本学生選手権個人総合3位。19年東日本学生選手権個人総合3位。両親と3歳下の妹との4人家族。

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