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【首都スポ】

[ラグビー]故郷・釜石のW杯を東京から後押し 平野らラ組女子が復興イベントで地元愛語る

2019年3月23日 紙面から

9日に行われた東北&クライストチャーチ復興祈念イベントで、参加者のみなさんと=東京都千代田区の丸ビルホール&コンファレンススクエアで(大友信彦撮影)

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 故郷・釜石のW杯を東京から応援だ!! 9月20日のラグビーW杯日本大会開幕まで半年を切った。東日本大震災の被災地で唯一の開催地となる岩手県釜石市を応援するために、釜石育ちの「ラ組女子」が立ち上がった。9日に東京都内で開催された「東北&クライストチャーチ復興祈念チャリティーイベント2019」に、17年女子W杯日本代表のWTB平野恵里子(26)=横浜TKM=と、フランカー柏木那月(20)=日体大=がパネリストとして参加、地元愛あふれるトークで聴衆を魅了した。被災地で震災を経験した若きラ組女子が、釜石のW杯成功そして自身のW杯での活躍の二兎(にと)を追う。 (取材・文=大友信彦)

 3月9日、JR東京駅前の丸ビル8階にある丸ビルホール&コンファレンススクエアに、ラグビージャージーや、大漁旗をあしらったTシャツを着込んだ、いかにも「ラグビー」っぽい雰囲気の人々が続々と集結した。

 この日行われていたのは、ラグビーを通じ、東日本大震災被災地の復興を目指して活動中のNPO法人「スクラム釜石」が主催する「東北&クライストチャーチ復興祈念チャリティーイベント」。

復興祈念イベントを盛り上げた柏木さん(左から2人目)、平野さん(同3人目)、マコーミックさん(右端)

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 8年前に、相次いで大きな地震に見舞われた東北地方とニュージーランド(NZ)のクライストチャーチが、互いに励まし合って復興を応援していこうという趣旨で、クライストチャーチ出身で日本代表主将を務め、釜石シーウェイブス(SW)でもプレーしたアンドリュー・マコーミックさん(52)をメインゲストに、震災1周年の2012年から毎年2〜3月に開催してきた。

 同イベントにはこれまで平尾誠二さん、村田亙さん、伊藤剛臣さん、大畑大介さん、大野均さん、広瀬俊朗さんら被災地応援に尽力してきたラグビー界のビッグネームが登場してきたが、今回のゲストは釜石で育ち、震災を経験した若きラ組女子たち。彼女たちの地元愛あふれるトークは、満員の聴衆を魅了した。

平野は未来のラ組女子と記念撮影にパチリ

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 一人は、釜石の隣町・大槌町生まれで、17年女子W杯に出場したWTB平野恵里子。釜石高の卒業式を終えた直後に被災し、自宅が流失した。幸い、家族は無事だったが、隣町の釜石がどうなっているかも分からない、孤立した状態だったという。

 「家も車もなくなって、進学は無理だろうなと思っていたら、お父さんが会社から車を借りてきて『行くぞ』って」

 上京する日は、避難所でともに生活した地元の人たちに見送られて旅立った。自分を支えてくれた家族や故郷の人たちに喜んでほしいという思いが、献身的なプレーを支えた。14年に日本選抜、学生日本代表を経て、17年女子15人制W杯に出場。18年には単身オーストラリアで武者修行し、フィジカルの強さを磨き、ラグビーを楽しむことを学んだ。

 もう一人は、日体大のFW柏木那月だ。震災時は小学6年生だった。

 「震災は、体育館で卒業式の練習をしていたときに起きました。もうラグビーなんてできないと思ったけど、ヤマハ発動機や神戸製鋼や、いろんなチームの人が釜石まで来てラグビー教室を開いてくれて、ラグビーって楽しいなと思うようになりました」

 高2、高3で花園ラグビー場の全国高校ラグビー開会式後の恒例試合・女子U18東西対抗出場。日体大に進学後は女子全国選手権で1、2年と連覇に貢献した。そして今季の全国選手権後には日本代表候補に初めて招集された。

 同イベントで、一緒に登壇したマコーミックさんは言った。

 「釜石という小さな町から日本代表クラスの選手が2人も出ているのはすごいことだよ。エリコは足が速いし、ナツキは体がでかくなってて、タックルがすごそう。ぜひ釜石で女子日本代表の試合をやってほしいね」

 このイベントの前日まで、両選手は和歌山で行われていた日本代表候補合宿に参加。ハードワークを重ねて帰京するや、休みなくイベントに参加した。さらに平野は、当日と翌日に行われた関東代表の合宿にも参加する強行軍。そして17日に行われた東西対抗で東軍の共同主将を務め、試合開始から3連続トライで東軍を85−0の圧勝へと導いた。

 震災の被害から立ち上がろうとする故郷への思いを胸に、エリコ&ナツキはW杯を盛り上げ、自らは次のステージ、2年後の女子W杯を目指す。

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◆首都圏から発掘!!釜石復興担う人材

 釜石SW・桜庭吉彦GM「新しいアイデアを持ち込んでくれる人に来てほしい」

 首都圏から釜石復興を担う人材を発掘−。日本選手権7連覇を達成した新日鉄釜石を母体に、クラブとして活動している釜石シーウェイブス(SW)がこのほど、副業・兼業を前提に「戦略プロモーションディレクター」を首都圏から募集するプロジェクトを、転職サイト「ビズリーチ」と共同で立ち上げた。

 釜石市には、ラグビーW杯開催会場として釜石鵜住居復興スタジアムが建設された。W杯時は仮設席を含め1万6000人収容となるが、W杯後は6000席に縮小される。ただ、人口3万人台の釜石市にとってスタジアムのW杯後の活用は大きな課題だ。

 釜石SWの桜庭吉彦GM=写真=は「W杯スタジアムを活用して、地方創生に新しいアイデアを持ち込んでくれる人材に来てほしい」と話す。

 副業・兼業を前提とするのは「今の仕事をやめて釜石に転居してという条件はハードルが高い。優秀な方に参加してもらいやすい形態を考えました」と同GM。釜石ラグビーの価値は釜石の外にいる人の方が高く見ている、と過去のV7時代から言われている。どんな人材が応募するか注目される。

 応募はビズリーチのサイトhttps://www.bizreach.jp/job/view/927546/?ref=jobfeaturから。

<平野恵里子(ひらの・えりこ)> 1992(平成4)年4月26日生まれ、岩手県大槌町出身の26歳。小1のとき釜石ラグビースクールでラグビーを始め、県立釜石高2年で花園U18女子セブンズ東西対抗出場。釜石高3年の冬に東日本大震災を経験。日体大に進み、3年、4年で会長杯(全国選手権)2年連続MVP。15年横浜TKMへ。17年女子15人制W杯出場。18年はオーストラリアに留学。

17日に行われた女子東西対抗では共同主将を務め、試合開始から3連続トライを決める活躍で東軍を圧勝に導いた=名古屋市のパロマ瑞穂ラグビー場で

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<柏木那月(かしわぎ・なつき)> 1998(平成10)年9月22日生まれ、岩手県釜石市出身の20歳。小3のとき釜石シーウェイブスジュニアでラグビーを始める。双葉小6年の冬に東日本大震災を経験。県立釜石商工2年、3年で花園U18女子15人制東西対抗に出場。高3で太陽生命ウィメンズセブンズシリーズに横浜TKMのゲストメンバーで出場。日体大に進学し、1年、2年と15人制全国選手権連覇に貢献。現在日体大2年。

3日に行われた全国女子選手権で突進する柏木。大会後に日本代表候補に選出された=神奈川県小田原市の城山陸上競技場で

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 首都圏のアスリートを全力で応援する「首都スポ」。トーチュウ紙面で連日展開中。

 

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