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【ラグビー】

南ア戦勝利は「1度だけ」世界の視線を変えたアイルランド戦日本の猛タックル[田村一博コラム]

2019年10月2日 0時21分

日本−アイルランド 前半、アイルランドの突進を阻むムーア(右)とトンプソン(左)=9月28日、静岡スタジアムで(岩本旭人撮影)

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 静岡から世界へビッグニュースが発信された。

 1次リーグで、日本がアイルランドを19―12と破った。アイルランドは世界ランキング2位で優勝候補の一角。海外メディアは「ジャイアントキリング」などの見出しで、格下が格上をやっつけたと大きく報じた。日本は2戦2勝とし、初の8強入りの可能性が高くなってきた。

 2015年大会では2度の優勝経験がある南アフリカを倒し、同様の現象が起きた。ラグビーの枠を飛び越えて、スポーツ史上最大の番狂わせと多くの人たちは言い、日本への称賛はしばらくやまなかった。

 ただ、世界の人たちの本心はどうだったか。南アフリカ撃破から数カ月後にラグビー王国のニュージーランドに行った。あるミーティングの際、「W杯で南アフリカに勝った日本から来ました」と自己紹介すると、現地の人に「(勝ったのは)一度だけですよね」と返された。

 まぐれだろ。

 そう言われた気がした。

 今回のアイルランド戦勝利、2大会連続のビッグパフォーマンスでも、世界の目は変わらないだろうか。ラグビー強国は毎年、ライバルたちと定期的に戦う伝統ある大会に参加し、そこで勝った負けたを繰り返す。だから、一度勝ったくらいで騒ぐなとなる。

 ただしこのW杯で、日本への視線は変わった。これまで、他に例を見ないクイックな動きで大男たちを振り回すのが日本ラグビーとイメージされてきた。先の大一番、人々の琴線に触れたのは無数の猛タックルだった。

 長身選手が受け持つロックのポジションに起用されたムーアとトンプソンの2人が、この試合のチーム最多と2番目のタックル数。大きな体を折り曲げ、何度も突き刺さった。その勢いを受け、全員が鋭いやりに。その一撃一撃が相手の闘争心を削った。

 試合後、アイルランドのシュミット監督は日本のパフォーマンスをたたえた。海外メディアからレフェリーの笛について問われても、ひと言言いたい思いをのみ込んで、「後で映像を見直し、気になるところがあれば統括団体に申告する」と言うにとどまった。

 同監督は賢い人だ。だから知っている。タックルで負けたときには、それを受け入れるのがラグビー。

 タックルは絶対だ。それには文句を言う奴も、ケチをつける者もいない。(ラグビーマガジン編集長)

 

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