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【ラグビー】

[W杯ラグビーコラム]日本のフェラーリが磨いたFB山中のタックル

2019年10月1日 12時47分

日本―アイルランド戦の前半、ストックデール(右)の突進を阻む山中

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 ラグビーW杯で日本がアイルランドを倒し、世界に衝撃を与えたその夜、緑のジャージーを着たサポーターは「日本チームは素晴らしい」「日本のファンになった」と恨み節ではなく、好意的な声を発してくれた。

 スタンドを埋めた4万7000人余りを感激させた日本チームは、何がよかったのか。相手の強みを消したスクラムとラインアウト、反則をしないで守り続けた我慢強さ、少ない好機を仕留めた攻撃。そして、地鳴りの声援でともに戦った観衆。全てよく、全てかみ合った。だから、この選手がよかったと挙げるのは、やぼと承知のうえである。筆者がFB経験者というのもある。記者席で思わず「よしっ」と声を上げてしまったプレーを振り返りたい。

 31歳にして初めてのW杯、初めて先発起用されたFB山中亮平が相手WTBを仕留めた二つのタックルだ。ともにアイルランドが左に展開し、スペースをこしらえて191センチ、103キロのWTBストックデールにボールをあずけた。山中との1対1。仕掛けられる距離もあり、攻撃側に有利な条件がそろっていた。通常はこういう状況にならないよう間合いを詰めておくのが鉄則だが、防御システムなどのチーム事情もあるのだろう。

 いずれにしても、山中は抜かれてもおかしくないところで、抜かれなかった。相手を外側に走らせる位置取りで追い込み、捕まえた。かつて大学のコーチが言った。「取られたトライは全てFBの責任だ」。この局面も抜かれていたら、トライを許していたかもしれない。

 山中はSO出身者のため、攻撃への信頼とは異なり、防御への不安が常に付きまとった。ただ、今回のタックルで首脳陣も見方を変えるはずだ。守備の進化は、ジョセフ・ヘッドコーチが「フェラーリ」とたたえる松島、レメキ、福岡の快速トリオのおかげだろう。日ごろの練習から世界最高峰のWTB陣と対峙(たいじ)し、何度も抜かれながら身につけたタックルの技術。チームが掲げる「ワン・チーム」を体現してみせるプレーだった。

 ▼末松茂永(すえまつ・しげなが) 1973年8月21日生まれ、東京都稲城市出身の46歳。国立高から本格的にラグビーを始め、早大進学後もFBで公式戦に出場。オール早大に選出され、アイルランド、英国遠征に参加。その後、ニュージーランドのクラブチームでもプレー。2001年に中日新聞社に入社。社会部の警視庁捜査一課担当時代は未解決の世田谷一家殺人事件などを追い、2018年に中日スポーツに異動。現在、ラグビー担当。

 

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