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【ラグビー】

<特別コラム>少年の魂もった男の同窓会場

2019年9月24日 紙面から

 開幕から4日間で、全48試合のうち8試合が終わった。ラグビーW杯が9月20日に始まった。つい最近までキックオフの日を指折り数えていたのに、大会中の時間のたつのが早いこと。ファイナルの日は、きっと駆け足でやってくる。

 試合会場に足を運んで思う。日本版のW杯が開催されているのではなく、スタジアムのゲートは空港のイミグレーション。一歩足を踏み入れれば、そこには過去に訪れた大会と同じような空気が漂っている。

 何人もの仲間と会った。先輩、そして知人にも。そこはまるで同窓会のようで、パーティー会場。往年の名選手、フランス代表の主将を務めたジャン・ピエール・リーブの名言に「ラグビーはいち早く少年を男にして、男に永遠の少年の魂を抱かせる」というものがある。白くなった頭のオヤジがひいきチームのジャージーを着て大声で笑い、ピッチ上のプレーに一喜一憂している姿を見ると、リーブの名言の後半部分がすぐ頭に浮かぶ。

 大会2日目、3日目は札幌ドームに行った。フィジーがオーストラリアに、トンガがイングランドに挑んだ。結果は順当に格上チームが勝ったけれど、ファンはこのスポーツの魅力を知った。

 イングランドが35−3とリードして迎えた後半30分だった。おそらく普段は野球のファンで、その感覚で言えば9回表で7点差のイメージなのだろう。スタンドのあちこちに席を立つ人がいて、出口に向かい始めた。帰りの混雑を避けるためだ。

 しかし、その人たちの何割かは途中で足を止めたように見えた。負けているトンガの渾身(こんしん)のプレーに場内が沸いたからだ。トンガコールが起こった。ラグビーはどんなに点差が開いていても、立ち向かう者に気持ちがある限り人を引きつける魅力がある。

 それは世界のラグビーの常識でなく、ラグビーの世界の真実だ。 (ラグビーマガジン編集長・田村一博)

<たむら・かずひろ> 1964(昭和39)年10月21日生まれ、熊本市出身の54歳。早大時代は同好会・GWラグビークラブでポジションはフッカー。89年にベースボール・マガジン社の「ラグビーマガジン」編集部に配属されて以来、ピッチ外から楕円(だえん)球を追い続ける。97年から現職。

 

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