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【プロ野球】

2人の最高の人材…なぜ「理」と「情」は融合しなかったのか 楽天の監督交代劇に感じる「もったいない」

2019年10月12日 16時3分

今年4月23日の誕生日に選手とスタッフからプレゼントされた腕時計を見せる楽天・平石監督

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 「なぜ」か、それとも「当然」か。楽天の監督交代劇は賛否が割れている。チームの編成、強化を一任されている石井一久ゼネラルマネジャー(GM)が自分の色を濃く反映できる指揮官に託すのは、職務からして当然だろう。一方、球団初の生え抜き監督を就任1年で交代させたことには地元ファンの反発がある。「理」と「情」がぶつかる構図だ。

 石井GMは、現役時代は奔放な発言で人気だった。一般的には「自由人」のイメージが強い。自由だけでは無責任だが、石井GMは「知」の人でもあり、野球脳にたけている。その理論には三木谷オーナーも一目置くと聞く。

 その石井GMが「中長期的に優勝を目指せるチームづくり」と来季を託したのは、走塁指導には定評のある三木肇2軍監督だった。「かくあるべし」の骨格をまず定めるのは、チームづくりの順序として定石。GMは豊富な知識と自身のメジャー経験を生かし、合理的なチーム改革を進めようとしているように見える。

 頭では分かっていても…と、割り切れないのが「情」の人々だ。2018年途中から監督代行を務め、今季から正式に任に就いた平石洋介前監督は、楽天のドラフト1期生。現役引退後もコーチとしてチームの中にいた完全なる生え抜きだ。故・星野仙一元監督も、楽天の未来を担う人材として重宝した。

 PL学園高から同志社大、トヨタ自動車と名門を歩んだ経歴通り、やはり野球脳は高い。さらには、「天性のリーダー」でもある。松坂大輔の横浜と名勝負を演じたPL時代のチームメートは入学直後、誰が口に出すこともなく「自分たちの代の主将は平石だな」という空気が早くも出来上がっていたという。おそらく、仙台の人も同じような感覚を抱いていたのではないか。「生まれてからずっとそばにいた」家族であり、未来を託す宝でもあった。

 この2人の卓越した魅力を二人三脚で生かし合うことができれば…。きっと、「理」と「知」と「情」が溶け合って、理想的なチームができたのではないか。今は「もったいない」の思いしかない。(井上学)

 

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