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【大リーグ】

【イチロー 一問一答(7)】本来野球というのは…ダメだ、 これ言うと問題になりそう

2019年3月22日 19時50分

8回裏、交代したマリナーズのイチロー(中央左)とうなだれる菊池=東京ドームで(北田美和子撮影)

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 ―野球の魅力とは。悲しんでいるファンは、メジャーリーグやプロ野球のどんなところを楽しめばいいか

 「団体競技なんですけど、個人競技だというところですかね。これは野球の面白いところだと思います。チームが勝てばそれでいいかというと、全然そんなことはないですよね。個人としても結果を残さないと、まあ、生きていくことはできないですよね。本来はチームとして勝っていれば、チームとしてのクオリティーは高いはずなので、それでいいんじゃないかという考え方もできると思うんですけど、決してそうではない。その厳しさが面白いというか、魅力であることは間違いないですね。あとは、やっぱり同じ瞬間がないということ。必ず、必ずどの瞬間も違うということ。これは飽きが来ないですよね。2つ目は、どうやって楽しんだらいいか、ですか。2001年に僕がアメリカに来てから、2019年現在は全く違う野球になりました。まあ、頭を使わなくてもできてしまう野球になりつつあるような、選手も現場にいる人たちもみんな感じていることだと思うんですけれども、これがどうやって変化していくのか。次の5年、10年、しばらくはこの流れは止まらないと思うんですけれども、まあ、本来は野球というのは、うーん、駄目だな、これ言うと何か問題になりそうだな。うん、頭使わないといけない競技なんですよ、本来は。でも、そうじゃなくなってきているのが、どうも気持ち悪くて。ベースボール、野球の発症はアメリカですから、その野球がそうなってきていることに危機感を持っている人はけっこういると思うんですよね。だから、日本の野球がアメリカの野球に追従する必要なんて全くなくて、やっぱり日本の野球は頭を使う面白い野球であってほしいな、というふうに思います。アメリカのこの流れは止まらないので、せめてやっぱり日本の野球は、決して変わってはいけないこと、大切にしなくてはいけないものを大切にしてほしいなと思います」

 ―子供のころからのプロ野球選手になるという夢をかなえ、これだけ成功して何を得たと思っているか

 「成功かどうかって、よく分からないですよね。じゃあ、どっからが成功で、そうじゃないのかというのは、全くそれは僕には判断できない。だから、僕は成功という言葉は嫌いなんですけど。メジャーリーグに挑戦する、まあ、どの世界でもそうですね、新しい世界に挑戦するというのは大変な勇気だと思うんですけど、でも成功、ここはあえて成功と表現しますけど、成功すると思うからやってみたい、それができないと思うからいかない、という判断基準では、後悔を生むだろうなと思います。やりたいならやってみればいい。できると思うから挑戦するのではなくて、やりたいと思えば挑戦すればいい。そのときにどんな結果が出ようとも、後悔はないと思うんですよね。じゃあ、自分なりの成功を勝ち取ったところで、じゃあ達成感があるのかと言ったら、それも僕には疑問なので、基本的にはやりたいと思ったことに向かっていきたいですよね。で、何を得たか? まあ、こんなものかな、という感覚ですかね。それは200本もっと打ちたかったし、できると思ったし、1年目にチームは116勝して、その次の2年間は93勝して、いや、勝つのってそんなに難しいことじゃないなと、その3年は思っていたんですけど、大変なことです、勝利するのは。この感覚を得たことは大きいかもしれないですね」

 ―ユニホームを脱ぐことで、何か神戸に恩返ししたいという気持ちは

 「神戸は特別な街です、僕にとって。恩返しかあ、恩返しって何をすることなんですかねえ。僕は選手を続けることでしか何かそれをできないんじゃないかと考えていたこともあって、できるだけ長く現役を続けたいと思っていたこともあるんですね。神戸に恩返し、うーん。じゃあ、税金を少しでも払えるように頑張ります」

 ―甲子園、プロ野球で活躍して、そこからメジャー挑戦に挑戦という流れがある。育成制度も含め、提言は

 「制度に関して、詳しくないんですけれども、でも日本で基礎をつくる。自分が将来MLBでプレーする、MLBで活躍するための礎をつくるというふうな考え方であれば、できるだけ早くというのは分かりますけど、でもまあ、日本の野球で鍛えられることってたくさんあるんですよね。だからまあ、制度だけに目を向けるというのはフェアじゃないかなというふうには思いますけどね」

 ―特に日本の野球で鍛えられたことは

 「それは基本的な基礎の動きって、おそらくメジャーリーグの選手より、日本だったら中学生レベルの方がうまい可能性だってありますよ。それは、チームとしての連係もあるじゃないですか。そんなの、言わなくたってできるじゃないですか、日本の野球では。でも、こちらでは、まあ、なかなかそこは、個人としてのポテンシャルは高いですけど、運動能力は高いですけど、そこにはかなり苦しみましたよ、苦しんで諦めましたよ」

 

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