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【大リーグ】

【イチロー 一問一答(3)】僕にも意外と感情があるんですよ 気持ちに応えてヒット打ちたかった

2019年3月22日 19時35分

記者会見で現役引退を表明するマリナーズのイチロー=東京都文京区で(平野皓士朗撮影)

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 ―この開幕シリーズを「大きなギフト」と言っていた。今回、でも私たちの方が大きなギフトをもらったような気持ちでいる

 「そんなアナウンサーっぽいこと言わないでくださいよ」

 ―いや、そんな。でも、これからどんなギフトをくれますか

 「ないですよ、そんな。そんなの、むちゃ言わないでくださいよ。でも、これは本当に大きなギフトで、去年3月の頭にマリナーズからオファーをいただいてからのここ、きょうまでの流れがあるんですけれども、あそこで、去年の春で終わっていても全くおかしくない状況でしたから、今この状況が信じられないですよ。あのとき考えていたのは、自分がオフの間、アメリカでプレーをするために準備をする場所、神戸の球場なんですけれども、そこで寒い時期に練習するので、へこむんですよね、やっぱ、心が折れるんですよ。でもまあ、そんなときもいつも仲間に支えられてやってきたんですけど、最後は山で自分なりに訓練を重ねてきた神戸の球場でひっそりと終わるのかなあというふうに、あの当時想像していたので、もう夢みたいですよ、こんなの。これも大きなギフトです、僕にとっては。だから質問に答えてないですけど、僕からのギフトなんてないです」

 ―きょうは涙ではなく、むしろ笑顔が多いのは、今回の開幕シリーズが楽しかったということか

 「これも純粋に楽しいということではないんですよね。やっぱり、誰かの思いを背負うということは、それなりに重いことなので、そうやって1打席1打席立つことって、まあ簡単ではないんですね。だから、すごく疲れました。で、やっぱり1本ヒットを打ちたかったし、応えたいって、まあ、当然ですよね、それは。僕にも感情がないって思っている人いるみたいですけど、あるんですよ、意外とあるんですよ。だから、結果を残して最後、迎えたら一番いいなと思っていたんですけど、それはかなわずで、それでもあんなふうに球場に残ってくれて、うーん、まあ、そうしないですけど、死んでもいいという気持ちはこういうことなんだろうなあっていうふうにと思います。死なないですけど、そういう表現をするときって、こういうときなのかなあって思います」

 ―常々「最低50歳までは現役」と言っていた。日本のプロ野球にもう一度戻ってきてプレーするという選択はなかったのか

 「なかったですね」

 ―その理由は

 「それは、ここで言えないなあ。ただね、確かに最低50までと本当に思っていたし、まあ、それはかなわずで、有言不実行の男になってしまったわけですけど、でも、その表現をしてこなかったら、ここまでできなかったかもなあ、という思いもあります。だから、言葉にすることは、難しいかもしれないけど、言葉にして表現することというのは目標に近づくひとつの方法ではないかな、というふうに思っています」

 ―これまで膨大な時間を野球に費やしてきた。これから、そういう膨大な時間とどう付き合っていくか

 「まあ、いまはちょっと分からないですねえ。でもたぶん、あしたはトレーニングはしてますよ。それは変わらないでしょうね。僕、じっとしていられないから、それは動き回っているでしょうね。だから、なにかゆっくりしたいというのは全然ないんですよ。全然ないです。たぶん、動き回ってます」

 ―生き様でファンに伝えられたこと、伝わっていたらうれしいなと思うことはあるか

 「生き様というのは僕にはよく分からないですけど、生き方というふうに考えれば、先ほどもお話しましたけれど、人より頑張ることなんて、とてもできないんですよね。あくまでも、はかりは自分の中にある。それで自分なりに、そのはかりを使いながら、自分の限界を見ながら、ちょっと超えていくということを繰り返していく。そうすると、いつの日か、こんな自分になっているんだ、という状態になって、だから少しずつの積み重ねが、それでしか自分を超えていけないというふうに思うんですよね。なにか一気に高みにいこうとすると、いまの自分の状態とギャップがありすぎて、それが続けられないと僕は考えているので、地道に進むしかない。まあ、進むというか、進むだけではないですね。後退もしながら、あるときは後退しかしないという時期もあると思うので、でも、自分がやると決めたことを信じてやっていく。でも、それが正解とは限らないですよね。間違ったことを続けてしまっていることもあるんですけど、でも、そうやって遠回りすることでしか本当の自分に出会えないというか、そんな気がしているので、そうやって自分なりに重ねてきたことを、きょうのゲーム後、ファンの方の気持ちですよね、それを見たときに、ひょっとしたら、そんなところを見ていただいていたのかな、というふうに。それがうれしかったです。まあ、そうだとすればすごくうれしいし、まあ、そうじゃなくてもうれしいです、あれは」

 

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