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【高校野球】

高校日本代表、世界一逃したわけは? 野球のU―18W杯

2019年9月11日 16時17分

U―18W杯日本代表の佐々木朗希投手

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 韓国・釜山で8日まで開催された野球のU―18W杯で、高校日本代表は5位に終わり、4大会ぶりにメダルを逃した。最速163キロ右腕の佐々木朗希投手(3年)=大船渡=や今夏の甲子園で準優勝した奥川恭伸投手(3年)=星稜=ら「史上最強」と称される投手陣を擁しながら、今回も初の世界一に届かなかった。原因はどこにあるのか。(麻生和男)

 決勝どころか、3位決定戦にも進めなかった日本。世界一を狙ったはずが、日程を1日残して大会を去るとは、予想もできなかった。2年の任期が終わる永田裕治監督(55)は「全ては監督の責任」と何度も繰り返した。だが、「監督の責任」で終わらせては、次回大会も優勝は難しい。

 日本の打率2割5分9厘は12チーム中5番目。3割に迫る米国、台湾とは差がついた。数字だけを見ると、「木製バットへの対応が…」という声が聞こえてきそうだが、記者が現地で試合や試合前の打撃練習を見た限り、4番・石川(東邦)を筆頭に、木でもミートはできていた。チーム関係者も「歴代でもナンバーワンではないか」と、その対応力を認めていた。

 ただ一方で、長打力は物足りなかった。5本塁打はカナダと並んでトップだが、8二塁打は優勝した台湾の19、準優勝した米国の17を大きく下回った。球をとらえることには進化が見えても、飛ばすことには苦労していた。好投手を単打で打ち崩すのは簡単ではない。一打で局面を変える長打力が必要になる。木製バットでしっかり、強く振る力を身につけることが、今後の課題だろう。

 選手選考については、7人の内野手のうち6人が遊撃手であることや、外野手を2人しか選出しなかったことに批判が集まった。20人という枠がある以上、多少の偏りが生じることは致し方ない。複数ポジションをこなすことを重視すると、遊撃手中心の選出になるのも頷ける。前回大会の清宮(日本ハム)のような飛び抜けた強打者なら一塁固定でいいが、そのクラスの選手は全国的にも見当たらなかった。

 チーム防御率1・58は12チームでトップの数字。8試合で9失策の守備の乱れが、大きく足を引っ張った。ただ、それは「遊撃手6人」だからではなく、国際大会の重圧、悪天候、技術不足によるものではなかったか。ダブルエースと期待された佐々木、奥川がともに1試合の登板に留まったことも、想定外だった。

 また、今回に限ったことではないが、選手のモチベーションにも疑問が残る。甲子園出場、優勝を目指してきた選手が、その甲子園、地方大会が終わった数週間〜1、2カ月後に「世界一を目指せ」と言われ、本気になれるのか。「ずっと気を張ってきたので、抜けてしまう部分があった」という奥川の言葉が現実を物語っていると思う。

 その意味で、今年から実施したセンバツ後の合宿は有効だった。「日本代表に選ばれたい」というコメントを、今年ほど聞いた年はない。もっと早くから、頻繁に代表活動の機会を設けることで、世界一を目指す選手の気持ちを醸成したい。壮行試合の相手を大学日本代表ではなく、外国チームにするのも一案だろう。甲子園という大目標がある以上、難しいことかもしれない。だが、この構造的問題を乗り越えなければ、世界の頂は見えてこないように思う。

 

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