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【グラニュース】

今季のJ1名古屋を戸田和幸氏が分析…“風間流”と“フィッカ流”が『真逆』といわれる理由、そして未来は…

2019年12月12日 20時14分

試合後のシーズン最終戦セレモニーであいさつするフィッカデンティ監督

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 名古屋グランパスは今季途中に監督交代が起きるなど苦戦を強いられ、13位で辛うじてJ1に残留した。風間前監督からフィッカデンティ監督に代わり来季も指揮を執る見通し。監督交代によって、チームはどう変化したのか、あるいは同じ路線と言えるのか。Jリーグ解説、本紙評論でおなじみの元日本代表MF戸田和幸さん(41)に、分析してもらった。

 ◆4月28日広島戦(1―0) 敵陣に入った辺り、シミッチからの縦パスで一気にスピードが上がり、ドリブルとパスを駆使しながら広島の「体内」を裂くように突き進み、ジョーの折り返しから最後は前田が押し込んだ得点。

 ◆8月18日松本戦(1△1) 5―4―1のブロックを形成されスペースを消され大苦戦。カウンターを受け先に失点し敗色濃厚の中、ハーフライン手前からネットがロングボールをゴール前に送り、走りこんだ赤崎がGKの鼻先でヘッドで合わせた得点。

 今季の風間監督が率いた名古屋グランパスにおいて、この2つの得点が印象に残っている。直接話を伺ったことはないが、1つ目の得点は風間監督が求めてきたテクニック、攻撃のコンセプトが詰まったもの。そこに相手は関係なく、一歩二歩相手から離れることができればそれで十分、後は培ってきたテクニックを恐れずに発揮すればという「らしさ」が存分に発揮された。

 2つ目の得点は真逆で、こじ開けられなかった相手守備に対し長いボールを蹴り込むと、ジョーに意識が向いた相手の裏を突く形で背後に落ちたボールを諦めずに走った赤崎が決めた。ショートパスとドリブルを駆使し守備組織の「中」をくぐってゴールを目指したが大苦戦。最後はジョーを目がけたロングボールから、「らしくない」という言い方がしっくりくる得点で引き分けに持ち込んだ。

 サッカーに相手がいる以上、ある程度は戦い方に幅を持たせることが必要だが、この2つの得点が生み出された前提を見ると、もし常にその2つを「当たり前」の戦い方として持てていたらどうだったのだろうと、個人的には考えている。サッカーを構成する要素として「守備」をおろそかにはできないが、そのチームが攻撃と守備のどちらを主軸に据えるかで中身の作り方はまるっきり変わってくるのがこのスポーツだ。

 後を引き継いだフィッカデンティ監督のサッカーは、「攻守一体となったサッカー」を掲げているが、サッカーの作り方という視点で見ると風間監督とは真逆に位置付けされる。ボールを持つことから考えるサッカーでの攻撃と、ボールを持たないことから考える攻撃は中身が大きく変わる。

 「攻守一体」という言葉は現代サッカーにおいては普遍的なもので、チームのコンセプトを表す言葉にはなり得ない。また、フィッカデンティ監督が目指すサッカーは攻撃と守備のどちらを主軸に置いたものなのか、過去率いたクラブと今季の戦いを見ると、後者であることは想像に難くない。それまでのサッカーとの関連性は決して高くない現体制の考え方が、既存の選手たちを生かす形になるのか、それとも良さをスポイルしてしまうのか、興味深く見ていきたいと思う。

 

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