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【芸能・社会】

本紙・三橋記者は見た 多摩川氾濫の被災地ルポ

2019年10月13日 12時43分

一夜明けても泥水に覆われた川崎市高津区の現場一帯

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 大型の台風19号が各地に大きな爪痕を残し、日本列島を通過した13日、河川の氾濫、住宅の倒壊など、被害状況が次々に明らかになった。東京都と神奈川県の都県境を流れる多摩川も12日夜、氾濫し、川崎市では浸水したマンション住民の男性が死亡、対岸の世田谷区でもマンション、住宅に泥流が流れ込んだ。騒然とする現場をルポした。(三橋正明)

 台風一過の快晴。多摩川は大雨や台風で河川敷が水浸しになることはあった。12日夜、「氾濫」という一報を聞いて頭をよぎったのはかつて、今回の現場からも近い東京・狛江市の堤防が決壊、多くの住宅が流された水害をモチーフにしたドラマ「岸辺のアルバム」だった。

 川崎市高津区の現場は、多摩川に注ぐ支流沿いのマンション、一戸建てが並ぶ住宅地。多摩川から約300メートルほど離れたエリア一帯が水に覆われ、消防、警察による規制も敷かれた。

 1階に住む60代男性が死亡したマンションは1階ベランダまで水が残っていた。まだ1・5メートルはありそうだ。水面には、さまざまな家具や建材、箱が浮いている。近くの40代男性は「こんなことは初めて。支流が増水することはあってもあふれるなんて…。一時は2階も足まで水が来た」とやり切れない表情。3メートル以上の浸水だったことがうかがえる。

 男性がどんな状況で亡くなったか、判然としないが、住民によると、親子で暮らし、ペットも飼われていたという。近くではボートで救出された人もいる中、「なぜ逃げ遅れたのだろうか」。

 亡くなった男性が住むマンションの上階に娘夫婦が住む近くの主婦(68)は13日未明から何度も足を運んだという。「1階が水没したままなので、娘の家族は缶詰めに。電気、水道も止まっている。差し入れしたくてもできない」と不安を隠さない。

 対岸の世田谷区の現場へ向かう。ショッピングセンターやIT企業本社、高級タワーマンションで知られる東急線・二子玉川駅からほど近い住宅地。こちらも多摩川が支流と合流する地点に近い部分で氾濫していた。治水的な共通項があるのだろうか、今後の究明課題になるかもしれない。

 川から水があふれてきた現場そばのマンションや住宅では片付けが始まり、水びたしの家財道具や雑貨などが路上に並んでいた。自治体職員や消防隊員も対応に追われている。

 ふだんは、憩いの場になっている河川敷にある兵庫島は泥流に沈み、河川敷に渡る橋には流木などが絡み付き、橋の表面が見えるだけで、依然水量は減っていない。

 近くの40代主婦は6歳の娘と現場を訪れ、「河原の公園が行きつけの遊び場です。でも遊具も、芝生も泥の中」と初めての経験に驚きの表情。都内でも人気の住宅地。「水害なんて予想もしなかった」と話した。

 川崎側、東京側とも河川敷にある土手沿いの遊歩道は人気のジョギングコース。この朝の好天に、走りにやってきた30代女性は「先週、花火大会を見に来たばかりで、まさかこんなことに」と別コースに向かって走り去った。

 今月5日に川崎側と世田谷側で多摩川を挟んで同時に花火大会が行われ、見物客でにぎわったばかりだった。

 両岸の河川敷には、野球やサッカーに使用される公営のグラウンドが多数あり、スポーツの秋を迎え、さまざまな大会への影響も心配される。川崎側の河川敷のゴルフコース「東急ゴルフパークたまがわ」は「営業中止」とし、再開の見通しが立たない状況としている。

 

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