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【芸能・社会】

「全員クビ」はパワハラ 専門家指摘、驚き隠せず

2019年7月23日 18時53分

涙を見せながら会見する吉本興業の岡本昭彦社長

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 吉本興業の岡本昭彦社長の「全員クビ」との発言が、所属タレントに対するパワハラではないかと波紋を広げている。芸能界特有の上下関係や身内感覚の強さが背景にありそうだが、労働問題の専門家は「典型的なパワハラだ」と口をそろえる。ハラスメントに対する世間の目が厳しくなる中、「あれほどの大企業が問題に気付けていないとは」とあきれる声も上がった。

 ▽常態化?

 宮迫博之と田村亮は20日の会見で「おまえらテープ回して(録音して)ないやろな」「(会見したら)全員クビにするからな」と言われたと主張。社長も22日に記者会見を開き、発言を認めた。ただ、圧力の意図は否定し「冗談というか、和ませようと思った」「家族、身内の意識で『もうええかげんにせえ』という意味で言った」と釈明。しかし、他の芸能人も社長の高圧的な言動を指摘しており、常態化していた可能性がある。

 ▽衝撃

 ハラスメント問題に詳しい労働政策研究・研修機構の内藤忍副主任研究員(労働法)は「社長と芸人では圧倒的な力の差が明らか。社長の説明によると、かなり軽い気持ちで『クビ』などと発言したとみられ、問題点に全く気付いていないことに衝撃を受けた」と驚きを隠せない。

 職場のハラスメント研究所の金子雅臣代表理事によると、パワハラの要件には/(1)/優越的な関係に基づいて/(2)/業務の適正な範囲を超え/(3)/身体的、精神的な苦痛を与えること―などがある。業種によって許容範囲は異なるとした上で「クビにすると言った時点で指導から外れている」と言い切る。

 芸能人の権利擁護に取り組む佐藤大和弁護士も「家族という言葉で全てを片付けようとするなどパワハラの土壌がある。事務所と所属タレントは本当は対等なビジネスパートナーであるべきだ」と述べ、業界全体で改善するよう訴えた。

 ▽6類型

 パワハラ防止への意識は年々高まっている。厚生労働省は2012年3月、職場での予防・解決に向けた提言をまとめ、典型的な類型を「精神的な攻撃」「過大な要求」など六つに分類。予防には組織のトップが範を示し、パワハラ撲滅のメッセージを社内に明示することなどが重要だとしている。今年5月には企業にパワハラ防止策を義務付ける女性活躍・ハラスメント規制法も成立。大企業は来年4月施行予定で、吉本興業も対象だ。

 波紋は霞が関にも広がる。ハラスメント対策を担当する根本匠厚労相は23日の会見で、一般論としながらも「職場におけるパワハラは働く人の尊厳や人格を傷つけ職場環境を悪化させるもので、あってはならない」と指摘。宮腰光寛沖縄北方担当相は、自身が主宰する有識者懇談会に吉本の大崎洋会長が参加していることの是非を問われる事態となっている。

 

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