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【芸能・社会】

ジャニー列伝(6) 「子どもたち」に夢託した日本のピーターパン

2019年7月17日 紙面から

 ジャニー喜多川さんの口癖といえば「YOU」が有名だが、「子どもたち」というフレーズの方が強く印象に残っている。文字どおり子どものJr.はもちろん、中年の域に入ったベテランも社長にとっては「子ども」。「これからは、子どもたちの時代」「子どもたちは、どんどん成長している」「今の子どもたちはすごいですよ」と、いつも大絶賛。本人がいないところで欠点を指摘するのを見たことがない。

 2015年元日、演出家・蜷川幸雄さんのラジオ番組に出た時も「どんな子も人間としての美しさがある」と断言した。かと思えば余興にすぎない野球大会でのタレントのふがいないプレーを怒ったり、こういう不思議な感性が面白かった。

 平和への強い思いも忘れられない。作・演出の「ジャニーズ・ワールド」と「少年たち」は再演のたびに内容が変わったが東京大空襲、特攻隊など戦争のシーンは削られるどころかボリュームが増えていった。「僕は戦争を知っていますから」と、和歌山で空襲に遭い、死体の中を逃げ回った体験を何度も語ってくれた。もう一つの祖国・アメリカから殺されそうになるという二世の複雑な心情もうかがえた。

 15年1月の「ジャニーズ・ワールド」は、最後に津波やハリケーンなどの写真をバックに、パキスタンにルーツを持つJr.にフォーリーブスの「君にこの歌を」を歌わせた。悲しみにくれる友人の心に寄り添う歌だ。その少し前に起きた、パキスタンで学校が襲撃された事件に彼が心を痛めていたのを知っての抜てきだった。「若い子たちに、この先の世界をどうするのか考えてほしい。子どもは大人になれても大人は子どもになれない。だから今、子どもたちに考えてほしい」と熱く語っていた。

 エンターテインメントへの飽くなき夢を「子どもたち」に託したジャニーさん。少年隊の錦織一清が「ジャニーさんは日本にいる本当のピーターパン」と評したことがあったが、どこか夢の国の住民のようだった。17年9月、自身もこう語っていた。

 「僕は60年も夢を見させていただいたから、みんなに夢を見せなきゃいけない」

 (宮崎美紀子、14年1月〜18年7月担当)

 

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